今プロジェクトヘイルメアリーが流行ってて、
なんかその次に読むSFはあれだこれだなんてXで流れてくるものだから、
今SF読むのはミーハーくせえなあと。
そんな時こそルポ本を消化する時。
お馴染みの著書。
都内でホームレスはいかに生活しているかを追った体験ルポ。
これは、目から鱗が落ちまくりでめちゃくちゃ面白かった。
人は落ちるとこまで落ちるとどうなるのかという
漠然とした不安と戦いながら日々を生きてるものだが、
本書はその不安を半分ぐらいを解消してしまう良書とも言える。
まず、想像通りだったのは雨風凌ぐ場所の確保が大変という事、
これぐらいかもしれない。それ以外は想像の斜め上を行く。
最も驚愕したのは、炊き出し事情だ。
たぶん都内だから他とは違う特別な環境なのだろうと思うが、
とにかく炊き出しの実施が多い。
ハシゴすれば普通に生活してる人より太る。
実施してるのが主に宗教団体という点も面白く、
中世には宗教の奉仕活動に依存するプロ乞食が存在していたが、
その現代版というか、現代まで継続されてる。
ホームレス間で炊き出し情報格差こそはあるようだが、
現代は飢えが構造になってるという言説は半ば本当のようだ。
次に手配師。
路上生活のニューカマーヤングに手あたり次第声をかけては、
重労働の飯場と仲介する人達なのだが、紹介料で生計を立ててる
だけあってか、心理的に追い詰めて引き込んでくる。
生活保護同様に一定数路上生活からの更生に貢献しているので、
なるほど、現代のホームレス激減の一役を担ってる訳だ。
あとは、行政側とあまり衝突せず、互いに妥協しあってる点も
意外というか、そうなのかって感じだった。
路上生活の実態だけでも本書はとても興味深いものになってるが、
それを彩る登場人物たちもユニークであり、
特に著者が最初に出会う黒綿棒が面白い。
本書の読み易さと完璧なチュートリアルサポートキャラとして
機能してるため、本書序盤の掴みは黒綿棒ありきとも言える。
黒綿棒氏は後に本書の事を知って仲違いしてしまったようだが、
全く他人事ながら、仲直りしてほしいなあと思う。
黒綿棒がこの本をエンタメに昇華したといっても過言じゃないし、
君が主人公だよ。