
カムイ伝第1部を読了。
白土三平作品をはじめて読んだのがこれになる。
はじめから度肝を抜かれっぱなしで、もう最高です。
あと10年早く読んでおきたかった、というのが本音で、
20~30年早かったら逆に内容を咀嚼し切れなかったと思う。
凄い作品なのは間違いなくて、その凄さたるや手塚・石ノ森と並ぶか
下手するとそれ以上のものがあるんだけど、
読んでて一番気になったのは、当時ガロでリアルタイムで読んでた
ティーンエイジャーの少年少女はどういうニュアンスで
これを読んでいたんだろう?という疑問だ。
文献によれば、推薦図書であった時代もあって、かなり広い層に
読まれた時期があり、学生運動収束後は下火になったとか。
このカムイ伝、控えめに言って思想性が強過ぎる。
恐らくティーンエイジャーが読むには絵面も内容もセンシティブだ。
物の影響を受けやすい若者が読むには危険過ぎると言える。
その一方、歳を取り穿った視点を持ち合わせて読むなら、
10中半分か6~7の割合で大袈裟に吹かした内容だと分かる。
その吹かし方が上手過ぎて、たまに変な笑いも出る。
カムイ伝は全編に渡りシリアスであまり無駄なコミカルさは無い。
けれど、それはちょっとオーバーですよって部分はかなりあって、
それが恐らく白土先生がわざとやってるし、恐らく幼少の頃に
そうやって面白い大人に脅かされて育ったのだろうと
容易に想像が付く。 要はサービス精神なのだ。
紙芝居で怖い話を大袈裟に叫んだり紙をめくったりして、
観客の子供を脅かす演出をするでしょう、あれだと思うんだよね。
そういう昔ながらの大人のサービス精神に満ちた内容なんだけど、
これ一歩間違うと、大真面目に支配体制への嫌悪や
差別への憎悪を植え付けかねない。
けれど、ちゃんと読むと、最初にオオカミのカムイが
人間社会の制度や差別なんかは自然界における摂理でしかない
という完全なロールモデルならぬワールドモデルを提示してて、
全巻に渡って最初の2~3巻のオオカミのカムイ編を
ヒューマンナイズして再生しただけなんだよね。
これ、物凄い作品だよ。
ティーンで読むと毒になりかねないが
20後半~30代で読むには最高だよ。
自分もあと10年早く読んどけば、
もうちょい作品に深みを加味できたと思う。
もっと早く読んでおきたかった!!!