AIを心理カウンセリングするというなかなかキャッチーな紹介に
釣られて読んだ。 これがすこぶる非常に面白かった。
現代から150年ぐらい先の未来を描いた、
AIが社会を制御するちょっとしたディストピアモノなのだけど、
わりと肯定的というか、悲観的な雰囲気がかなり抑えめで、
結構こういう未来が来たらいいなあと思えるような書かれ方が良い。
本作の世界ではAIの制御により人に必要なモノは必要なだけ供給されるため
通貨が消滅し、人が生産する作業も全てAIが制御してる作業マシンが生産し、
人間の”仕事”もほぼ消滅してる。かといって自給自足をしたい人たちも存在し、
そういった人たちも排除されず共存してる。 そんな世界だ。
お話の冒頭は前述の世界観の説明の前に、ある講演会からはじまる。
しかし、来場する客は極少人数。講演終了時に グッド評価が山のように付く。
この冒頭でグッと掴まされた。
要するに未来の講演会はオンラインがメインで、ご近所のご老人だけ
会場に見に来る といった様式だ。
この後、女主人公は食事のお誘いを受けるのだが、
それを断り、出会い系アプリで検索した男と食事に行く。
この世界ではもはや偶然の出会いより精度の高いAIにより制御された
マッチングアプリの方が信頼があり安心して利用できるのだ。
もう、この冒頭だけで面白いだろう?
面白そうと思ったら 今すぐ買って読んだ方が良いよ。
この後、すったもんだがあって、心理学を研究する主人公が
不調をきたしたAIを心理カウンセリングするんだけど、
このシークエンスが細かくて面白い。
AIが自我を得るためにさまざまなアプローチを繰り返し、
ようやく仮の外見を構築するんだよ。
そして主人公とAIのエモーショナルな旅がはじまって、
仕事とはなんだろう という哲学的な問いの答えを探し、そして
ちゃんとお話が着地する。
俺は結局感情論にブンなげて強引に畳むと途中から予想してたが、
それは発想が昭和だった。 完全に腑に落ちる結末が待ってる。
そうそうSFはこうあるべきだよ!! これこそSFだよ。
すげえよかったよ 最後のどんでん返しは、確かに予想しえた。
シンギュラリティの指数関数的な進化ってそもそもそういう規模だよ。
いやあ 壮大でした。 超おススメの一冊です。