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【書籍感想】森を守る文明 支配する文明

洋の東西に伝わるアニミズム系の共通する信仰を掻い摘んでまとめた本です。
1997年発行と、ちょっと古めな本書で、現行の定説とは
たぶん、かけ離れてると思うんですが、
一部創作のネタとして面白い部分があったので紹介します。

面白かったのは第五章。
黒死病の蔓延の遠因は一神教の拡大にある、とする説。

ここで言う黒死病はネズミのノミが媒介するペスト菌によるもので、
一神教はキリスト教を指します。
経過を大雑把にまとめると、

1.気候変動で寒冷化したため多神教の大地母神信仰が弱体化 前12世紀
2.マラリア蚊の大量発生で抗体を持つキリスト教徒が勢力拡大 1世紀頃
3.コンスタンチノープルでペスト流行。周囲に拡大はせず。 7世紀頃
4.中世温暖期がはじまりヨーロッパの人口が爆増しはじめる。 8世紀頃
5.キリスト教徒の教会を中心に大開墾時代がはじまりアルプス以北の森消滅。
 人口増加もさらに急加速。人口密集化も進む。 12世紀頃
6.森の破壊により天敵が消滅し繁殖に適した草原が増加したためネズミ大繁殖。
 ペストが人口密集した場所で感染爆発。天敵が潜む森が無いためネズミは
 周辺地域に往来し放題。ヨーロッパ全土の大パンデミックに発展。
 気候の寒冷化も開始。 13世紀頃。
7.キリスト教主導の大開墾の末、森林資材が枯渇し木材が高騰する。
 寒冷期も続き穀物も高騰。 16世紀頃
8.建築を木材から煉瓦にシフトしたためネズミが住めなくなって、
 木綿の下着が流行ってノミが繁殖しにくくなり、ペスト終息。17世紀頃


要は、多神教が崇めていた森を一神教が教会を中心とする都市の発展のため
破壊し尽くしたため、ネズミが繁殖し往来する土壌が完成しペストが大流行した
というお話です。

近年では黒死病はネズミ由来のノミによるものではないという説も多々出てますので、
この説は大分弱くはなってるんじゃないかと思うんですが、
これは、ファンタジー小説などで疫病伝染のメカニクスを構築する上では
かなり使えるネタではないかと思います。

本書でこの部分がべらぼうに面白かったのでまとめましたが、
自分が制作してるPCゲームでは他の章からネタを拝借してます。
やや古い本なので説として弱いですが、ネタ本としてはかなりおススメです!!




by souka_t | 2021-10-05 17:06 | 文学 | Comments(0)
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