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奥義伝承デザイナーズノート2


前回はテーマや設定を語ったので、
次はゲーム部分について順番に書いていこうかとおもいます。


・着想

ゲームが終わった時に"何かが完成する"。
そういうものを作ってみたいという所から始まりました。
カルカソンヌでいうところのタイルを並べきった時の地図、
あるいは福笑いのようなものでしょうか。
最終的になにか1つの絵面になるものに憧れ、
奥義伝承では"流派の系譜"が完成するものを目指して
ルールを構築していくこととなりました。
よって、奥義伝承は"最終的な形"からゲームを
作り始めたことになります。

余談ですが、コンピューターゲームのRPGの作り方(特にツクールなど)で、
「最後の場面から作る」という方法があります。
これ、意外と良い作品ができる方法論でして、
最後から逆に作っていくので物語的な伏線に矛盾が無く、
数値的にも天井から作るのでインフレせず、
わりとバランスの取れた物に仕上がります。
そしてなによりも、"終わらせることが容易です"。
なぜならば、既に終わりがあるので、最終的にはじまりを考えれば
よいからです。
ゲームや小説を作る上で、一番最初に障壁となるのは
モチベーションですが、その次に立ちはだかるのは"終わらせ方"です。
物事というのははじめるのはカンタンで、
終わらせることがその何十倍も難しいものなのです。



・勝利条件

次に考えたのは争点でした。
カードを並べて系譜が完成するからには、
カードの並べ方次第で勝利点が取れるもの。
そういった最初の思いつきがありましたが、
それでは良いカードを引くだけのゲームになりそうだったので、
ひとひねり加え、奥義をできるだけ後の時代の弟子に
伝承していくというテーマにも一味加えた内容を思いつきます。
この辺りは、ロジカルにその発想に至ったのではなく、
風呂にはいってたらなんとなく思いついた程度のことです。
時としてこの思いつきでロジカルな思考を一足飛びし、
ユニークな回答に飛び込む事が多々あります。
だからリラクゼーションを侮ってはいけないのです。

私のアイディアが思いつくシチュエーションは以下のとおり。
#図書館と家までの散歩中
#電車の中
#風呂
#インターネットで女子中学生をストーカーしてる時
#動物が出てくる絵本を探す時



・バランス

奥義記号・武功・内功・矢印といった感じに、
奥義伝承のカード1枚に詰め込まれた情報量は
意外と多い。これによりカード1つ1つに個性を持たせ、
かつすぐに終点にならないように調整するとなると結構大変。
はじめに、矢印の無い終点だけど腕っ節はめっぽう強い
キャラ3人から作りました。これが、神濃三道人と鳳翼愁とダリオス王子。
次に、終着点だけどどの奥義の受け皿にもなる高欄。
あとはそれぞれのパターンを均等に作った。
これで何度かテストプレイしたところ、詰まる場合もあるけど
だいたい駆け引きになる程度になったので良しとした。
これは正直思い残しが無いわけでもない。
もう少し継承しやすいカードを増やしても良かったのかなとも
未だに思ってます。もし拡張やリニューアルが出るとしたら
この部分を再検討する事でしょう。



・戦闘システム

はじめは武功だけの数値があり、
ただその数値を比べるだけの1対1戦闘でしたが、
そこに一味加えるために横矢印を義兄弟という設定にし
支援用の内功数値を付け足しました。
これが決まった時は我ながらとんでもないテーマの
一致を見た感がありましたが、戦闘が複雑化するため、
シンプルな戦闘とテーマの一致感という2つの選択に一瞬迫られるも、
迷わずテーマを選択。
特に決定打となったのは、"弱い義兄弟を助けるために
いつもは強い侠客が苦戦して容易にやられてしまう"という
武侠作品のよくある場面を再現できること。
また、義兄弟の繋がりが浅い世代は弱く崩れやすい
という流派の人材問題を上手く表現できたこともありました。

これは後日談ですが、
奥義伝承の戦闘システムは、プレーヤー同士
横並び系譜も横並びでプレイすることを前提に作ったものでした。
それは、弟子世代が横並びなら数字の比較がし易いからです。
マニュアルに書くべきか迷ったことすらなく、
そうしてくれるだろうとタカをくくっていましたが、
かなりの割合で 向かい合わせの系譜縦並びでプレイ
している方が多くて驚き焦りました。横並び推奨です><
引き分けの場合のルールが決行し易いですからねっ!


・フレーバーテキスト

攻城ペンギンに引き続き多量のテキストを投入しました。
同人ゲームならシステム・ルールに関すること以外のテキストで
いろいろと遊びを仕込む人って大勢いるのかと思ってたのですが、
意外と少ないんですよね。なら、自分がやるしかないでしょう、と。
システムもグラフィックも全部一人でやっちゃう系同人屋ならではの
お遊びってやつを自分なりに示してみました。

思えば、フレーバーテキストへの憧れはビックリマンチョコにまで
遡ります。シールの裏に書いてあるテキストを大真面目に
読んでいた派なので、その後のネクロスの要塞やガムラ・ラーメンばあ
もどっぷりハマっていき、甲竜伝説ヴィルガストに行き着く頃には、
副読本とセットで楽しむコアファンの形を身に覚えさせていました。
モバマスやら艦コレにハマり込むおっきなオトモダチも、
こういった世界観に浸透する遊びの下地を育んできた反動なのかなと
私は分析している次第です。

また、こういった世界観へアクセスする収集物の考察は
大塚英志さんの著書「定本・物語消費論」でも述べられています。
創作においても一読することをオススメしたい本です。
ある意味において私の出発点でもあります。


・パッケージング

常にというか今なお第一課題なのがパッケージングで、
奥義伝承の時もかなり悩みました。
見た目的にカードがモノクロなので、チープなジップロックでは
さすがに悪い意味で地味すぎる。
なんとか良い意味で地味ぐらいにはもっていきたいと思い、
いろんな入れ物を検討したのですが、どれも今一歩。
小奇麗なものにしても、なんで小奇麗な箱に渋いものが入ってるの?
となり、どうにもバランスが悪い。キャラメル箱もなんか違うチャラい。
そんな具合にいろいろと考えていたところ、
ある物が目にはいります。
ドロッセルマイヤーズのHYKEです
箱の中に包み紙が入っているのを見て・・・

「ああ、これでいいんじゃないか」

となり、近場の布屋を物色したところ、
良い感じに江湖の侠客がものを運ぶ時の布みたいなものが見つかり、
しかもめちゃくちゃ安かったので即決。
パッケージングの布はこうして決まりました。

そして、誰もが「信玄餅」と言わしめるに至ったあのスティック。

それは、何かしらに使えるであろうと思って
買っておいた園芸用のプレートで、
「何か暗器っぽくね」というなんとなく合致してしまった
イメージのもと採用された。
タイトルを印刷したものを張り込んで、布に刺せば完成。
男女のきらびやかな武侠というより、流派の泥臭い争いの方の
武侠を匂わせる奇想天外なパッケージングになったと
我ながら思ったので、これで完成としました。


・付録包み方

公式サイトで追記しようと思って先送りしまくってたので
この機会にここで包み方の記述をしときたい。
世に言うところのお弁当結びである。


1.布を広げます


2.ど真ん中にカードとチップとマニュアルを重ねます


3.片一方を被せ込むようにし、カードの下まで伸ばします


4.反対側を上から被せます


5.両端を結びます


6.暗器を刺して完成です。




という訳で、奥義伝承デザイナーズノートでした。
次回はウサペンの予定。
by souka_t | 2013-06-20 22:04 | 同人ゲーム制作 | Comments(4)
Commented by どどんど at 2013-06-20 22:42 x
初めまして。
購入した奥義伝承ですが、「暗器」に貼られていたタイトルの紙が剥がれてしまい、糊や瞬間接着剤で貼り直してもすぐ剥がれてきます。
問題なく貼り付けられる接着剤はありますか?
Commented by souka_t at 2013-06-20 23:42
ようこそ。
うわわっごめんなさい><
手作業での接着が甘かったみたいです。

通常の糊や瞬着ですと乾いた後に取れてしまいますよね。
100均一などにあるプラスチック対応の万能ボンドを塗り、
上から念入りに押し込むと付きます。
しかし、この方法でも確実ではないので、両面テープ推奨です。
ホントにお手数かけます。
もし上手くいかなかったりまた剥がれてしまったら
暗器のお取替えをしますので、ご一報下さいませ。
東京フリマか秋ゲムマでお渡しできます。
ホント すみません><
Commented by 青の騎士 at 2013-06-24 12:39 x
ウチも職場も第一声が信玄餅だった。ww
Commented by souka_t at 2013-06-24 20:33
もうひらきなおって 信玄餅いかがすか~ とかブースの周りに声かけてました>< 布が真っ白じゃなくてやや黄かかってるのが拍車をかけてます!
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