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2013.moon_up_11
その昔、ゲットマンは言った。

「面白いって何か分かるかい?」

「面白いっていうのはね、感情のことを言うんだよ」

「喜怒哀楽、全てが"面白い"ってことなんだ」

「ゲーム性? ハハッ そんなものは"面白い"には関係ないよ」

「どんな現象を駆使してでも、人の感情を動かせば、それが"面白い"ってことだよ」


それから、俺達は"面白い"を追求しても、"面白いのか?"で止まることはなくなったー


今回は無駄にそそる無料オンラインゲームのバナー特集を
する予定でしたが、突如として大先生出現の事態が起きたので、
予定を変更して特集を組みます。


■世紀の奇作「フランケンデリバリー」 -今、ボードゲーム革新がはじまる-■

フランケンデリバリーとは
大阪GMで頒布された同人ボードゲームである。
ルールは神経衰弱をベースとし、2枚のカードをめくり
百人一首のように自陣のカードを無くすことで勝ち抜けする。
また、絵柄が合ったカードにはそれぞれ特殊効果があり、
必ずしもその効果が有利に作用するとは限らない。



フランケンデリバリー最大の特徴は
付属されているショートストーリーである。

内容はフランケンが歩んできた日々と
定期的に発する混乱と抑えきれない欲望の暴走が
書かれている。
それにはフランケンの喜び・怒り・哀しみ・楽しみが
表現され、読む者にもそこはかとなくその想いを
共有させるに至るのだ。

この短編を導入部に用いる方法が余りにも秀逸。
はじめるまえに短編を読めというのは面倒と
思うかもしれないが、文章量としてギリギリの許容範囲に
とどめている所が巧妙。

重要ならもっとフォントや紙質に凝って、
挿絵ぐらい入れたらどうなんだ?
と思うかもしれないが、これはこうでなくてはならない。
底なしの狂気を演出するには無機質と無画像、
ありふれた物に投影するおぞましい日常感が必須なのだ。


更にキャラクター相関図も付属されている。
必要最低限のコンポーネントにまとめている中、
わざわざ相関図にリソースを割くことには
もちろん意味があるはず。
繰り返すが、相関図であって効果一覧ではない。

やはり、短編の世界観を一度経由してから始めなさい
というメッセージなのだ。短編ありきを後押ししている。
または、どうしても読みたくなければこれだけでも
把握してゲームをはじめてくれといった念の押し様とも取れる。



カード群。
なにも先入観無く、このカード群を見た時、
まず、さくらももこが一発キメて描いたのか?と思わせる
画伯のシュールレアリズムにクスリとくるだろう。

だが、導入の短編ありきではその印象もガラりと変わる。
混乱にもがき苦しむフランケンが見ている世界そのままの
像がここに描かれているのだ。世界はゆがんでいる
そして、フランケン自らもゆがんでいる。
シーラカンスと蟲が微妙にしっかりしているのは、
人喰い欲望フィルタの影響が弱く、ゆがみきれなかった
のだろうと、私は考察する。
このアートワークはかなり巧妙だ。
テーマに合ってるどころじゃない、フランケンの世界がここにある。


プレイ。
神経衰弱の基本はめくったカードを覚えることにある。
無論それで優位に立てるには立てるのだが、
それだけでは御しきれないハプニングが立て続けに起こる。
勝ち抜けが見えて来ようものなら、理不尽なまでの妨害を受ける。
まさにフランケンの混乱と苦悩を表している。

フランケンのカードはババ抜きのババのようなものとして扱い、
それを押し付けることが勝ち抜けるためのキーとなる。
フランケンカードとは即ち、フランケンの内に眠る欲望を表している
のだろう。この人喰い欲望からの解放こそが、フランケンの願望なのだ。

プレイヤーはどんどん勝ち抜けしていくが、
最終的には最後の1人がフランケンカードを引き取り
人喰い欲望を発症しなくてはならない。
この短編に書かれた内容との一致具合。
これほどテーマと融合を果たしたゲームがあっただろうか。



いったいぜんたい、このとんでもない作品を
作ったのはどんな人なんだろう。
プレイした人なら100人中118人は気になるところだろう。
計算的におかしな18人は空気感染。

先生の作品をもっと見てみたい!
と衝動に駆られ、ホームページと思しきライブドアブログ
アクセスしてみると・・・。

完成した とだけの報告しかなかった。(2013年3月18日現在)

先生のことは何一つ分からなかった。
その存在自体も神秘のベールに包まれている。
本当に実在するのだろうかとすら疑ってしまう。
あまりにオカルト過ぎる・・・。
ここに史上初のボードゲーム界の大先生が誕生したのだ。

大先生の次回作に注目したい。
by souka_t | 2013-03-18 08:56 | ボードゲーム | Comments(0)
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