カテゴリ:文学( 86 )
【文学】ファウンデーションと地球 上巻


前回に引き続きファウンデーションシリーズ。

正直、今回は上巻の時点ではかなりキツイ。
全編にわたって野暮ったい。
ここからの新規のための配慮として、
前作ラストから追加された主要登場人物に
再度焦点を当て直したりするのは、まあ分かる。
だが、微妙そうな敵対者が現れたと思ったら
本当に微妙な色仕掛けに発展したり、目標の座標を押さえて
ついに話が進むかと思ったら、そこで現れた未知との遭遇は
ただの野犬の群れだったり。とにかくガッカリ要素満点。
350ページのうち340ページは今までに比べて退屈だった。

もしかすると、ラスト10ページで少しワクワクしてきた展開から
下巻で上手い着地点に落ちて化けるかもしれないから、
一応は評価保留としておきたい。

しかしながら、
第二ファウンデーションとの謀略戦とセルダンプランのケレンミが
無くなったら、こうもつまらなくなるとはおもわなんだ。
上巻はとりあえず、あまりのスケールの小ささに唖然とした。
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by souka_t | 2013-01-06 08:52 | 文学 | Comments(0)
【文学】ファウンデーションの彼方へ 下巻


この前読んだ上巻の続き。

30年ぶりに執筆した続編という作品背景を持ちながらも、
違和感が少ない。前三部作のラストに感じた印象と、
今回ラストの読み手をまくし立てるが如く一転二転する会話劇に
同様のものを感じた。 次回を匂わすちょっとした不協和音を含めて大満足だ。
まごうことなき傑作。

めまぐるしく人物視点が切り替わり、
細かな描写と会話劇ですこーしづつすこーしづつ三勢力がにじり寄る
展開は、たった2冊だというのに濃厚かつ長く感じた。

前作の最後が最後だっただけに、
ミステリとしか読めなく、登場する人物全てを疑って読んでしまうのだけど、
最終的にそんなことよりももっと驚くべき大オチが用意されている
ことがニクイ。それがまた会話中にしっかり示唆されているのだから、
用意周到というべきか…。
30年も続編執筆を渋ったわりにノリノリじゃないですか。

主人公が究極の3選択に迫まれるところは
なかなかの名シーンだった。
昨今の作品だったら、「俺はその中のどれも選らばねえ!」
ってなると思うのよ。というか、そうなることが許される風潮があると
思うのよね。選択後に理知的に決めたことをしっかり解説しちゃうあたりが
SFらしいというかアシモフらしいというか、そういうところが大好きだな。

今年の読書はここで区切ってしまおうかと思っていたけど、
次のファウンデーションと地球も読みたくなってきた。
引きが上手すぎだよ、気になって仕方が無い。
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by souka_t | 2012-12-16 08:33 | 文学 | Comments(0)
【文学】ファウンデーションの彼方へ 上巻


ファウンデーションシリーズの第二シーズン。

前作に引き続き、物質文明・第一ファウンデーションと、
精神文明・第二ファウンデーションの間接的なやり取りがメイン。

第一期の最後があまりに印象深かったため、
出てくる登場人物全てがスパイ容疑がかかってしまう。
良い意味でまともに読めねえ。

前作まではセルダンプランを遂行するために
第一ファウンデーションが一方的に第二ファウンデーションに
間接操作されるという筋書きだったけど、
今回は常勝第二ファウンデーションも気づかぬ間に
第三勢力に操作されていたのか?って具合な話。
もう、それすらブラフなんじゃねー?って
疑って読んでしまう。アシモフまぢミステリーだわー。

それと地球の話が面白かった。
現代でさえ人類発祥の地は諸説多々なのだから、
宇宙に進出した数万年後の人類が、
"どの地域で人類が発生したか"ではなく
"どの星で人類が発生したか"というスケールに変わっても
不思議ではない。見事なSFだった。

あと、第二ファウンデーションの派閥争いが
書かれていたところも面白い。
精神的に卓越した面々で構成されているという
前作までのイメージから打って変わって、
互いを牽制し合う俗物っぽさが滲み出ていた。

上下巻ということで、さまざまな伏線が散りばめられた上巻だっただけに、
続きがめさくさ楽しみ。 明日にでも借りて来ようと思う。
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by souka_t | 2012-12-02 15:28 | 文学 | Comments(0)
【文学】夏への扉


アシモフを堪能したら、次はハインライン読むっきゃないだろうってことで
これまた傑作と名高い"夏への扉"。

噂に違わぬ面白さだった。
まず、猫好きは必読の書と言っても過言じゃない。
夏への扉読まざるもの猫好きにあらずと言っても良いほどだ。
猫愛に満ち溢れ過ぎている。これほど猫に対して理解と敬意を
持った文を見たことがない。世の猫好きはオススメどころか必読。

翻訳者が柔軟なのかハインラインがポップなハイセンスなのか
この1冊じゃ分らないのだけど、今年読んだSF小説の中では
群を抜いて読みやすかった。
主人公ダンは技術屋肌で、ハードSFお決まりの議論展開より
どうでもいいから手を動かさせてくれ的な孤高な発明家っぽい
調子であるため、小難しさより明快さが際立つ内容。
たぶんその辺りが読みやすさの所以。

50~60年代に原本が出たことを思うと、
本編に書かれた2001年の未来像が余りに眩し過ぎる。
それに伴なうこの想像力の凄さにはただただ感嘆するばかり。
だけど2012年にいる自分にしてみれば「ざんねんでしたね」と言わざるを得ない。
お手伝いロボットは全然一般的ではなく女性は家事から解放されず、
服も未だボタンとジッパーがついていて、
製図機もソフトはあれど未だアナログが主流、
立体映像の映画は3Dと呼ばれる子供騙しですよ。

未来表現のワクワク具合も凄かったけど、
時間転移の理論のハッタリ具合も良かった。
今では光より速く動けとか、空間をねじれさせるとかがお決まりだけど、
50~60年代ってああいうのが主流だったのかしらン。

ラストの未来万歳具合は、
星を継ぐものの人類万歳に通じるような
賛美っぷり。
ハインライン先生、自分達はいますよ その未来に!
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by souka_t | 2012-11-16 04:17 | 文学 | Comments(0)
【文学】銀河帝国の興亡3

ファウンデーションシリーズ初期三部作の完結編。
今回は前回の敵であった存在とその部下2人による探索劇、
そして時代は一世代半ほど飛び、まさかの14歳の少女が活躍する心理戦。
ここにきてキャラクター小説色が濃くなりつつも、
初期に固めた設定を充分活かしかつ散りばめた伏線を
見事に収束させた傑作SF小説でした。

前巻からの直接的な続きであるため、
前巻のクライマックスで盛り上がりに盛り上がったところから
同じ熱量のスタート。
続編で敵側の視点になるっていう昨今の作品でもよくある
展開で、チート級の能力をもった強大な敵側の視点になります。
その能力がとんでもないため、逆に相手はどんな詰め将棋を
展開してくるのかというワクワク感はかなりのものでした。
それらが前半のエピソードで、そのクライマックスでは
前巻からほのめかしていた未知なる存在がいよいよ直接的に
絡んできます。 ここでの盛り上がりは最高潮。
未知なる存在達がより一層あやしく、ミステリアスな存在に強調されていって、
「いったいどういうこと!?」ってなるんですよ。

それで、いよいよ後半はその未知なる存在達に対して本格的に探査を
開始しようと次の世代が動き出すんですが、ここで面食らった!
まさかの14歳の少女の作文から始まる後半戦のスタート。
この肩透かし感はアシモフに惚れる。やばい。
一気にポップな雰囲気を撒き散らしながら、重厚な話はどこいった、と。
けど、ここがまた上手いところで、所々に未知なる存在の会話劇が
挟まれてるんです。ぽかーんとさせても飽きさせないし掴んで離さない。
そして、気づけば完全にミステリー展開に移行。
ハイライトシーンでのメインキャストらから語られる自説の
ぶつけ合いは、ある種、星を継ぐものに通じるものがある。
そして最後に明確な回答がポーンと出て、おまえはあいつだったのか!と
もう完全にミステリ。

いやはやー 面白かった。
図書館で借りたけど、早川版を家に揃えておきたいと思ったほどです。
SF小説としては間違いなく傑作でした。
しかし、これの映像化の話があるそうですが、
果たして映像化に向くんですかねえ・・・。
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by souka_T | 2012-09-10 19:53 | 文学 | Comments(0)
【文学】銀河帝国の興亡2

まだまだ続くよショーナン夏のSFフェア。

前回に引き続きアイザック・アシモフの傑作SFファウンデーションの2巻目。
タイトルが異なるのは、創元SF文庫版しか腰越図書館になかったから。
ぶっちゃけ早川版の方が会話のやりとりが分かりやすい訳になってる。
創元版はところどころイミフ。


今回も前巻に引き続き心理歴史学に基づく時代の変化が書かれている。
後半は一変して長編になっていて、いよいよ未知の敵が現れ、銀河系の星々が
戦う中、その未知の存在に対抗する手段と、「第二ファウンデーション」
という預言者の残した聖地を探す探索物語が展開される。

この後半の話はミステリ調になってたりで、なかなか凝ってはいるが、
今まで小刻み良い短編つづきだったためか中だるみは否めない。
個人的には未知の敵の正体のオチが早期に見えてしまったのが残念。
しかし、「第二ファウンデーション」のくだりは
良い具合にケレンミが効いてて先が楽しみで仕方が無くなった。
ついつい徹夜で読んでしまったほどだ。
この2巻目によって銀河は再編され、新たな舞台は整った。
第一部クライマックスの3巻目への期待は膨らむばかり。
ファウンデーションシリーズは面白いです。

明日から3巻読む予定。
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by souka_t | 2012-08-28 20:34 | 文学 | Comments(0)
【文学】ファウンデーション1


ショーナン夏の大SFフェア実施中。
今回は海外SF作家御三家の一人、アイザックアシモフ氏の
ファウンデーション。

副タイトルに銀河帝国興亡史とあるから、
銀英的なアレやソレなのかと思いきや、全然違い、
50~100年区切りで人の移り変わりを書いたガチな歴史物でした。
これがまた猛烈に面白かった。間違いなく傑作。

生活の基盤というのは大事なSF要素な訳ですよ。
この作品は、1人の預言者的な人物の言葉を軸に、
その基盤の移り変わりを上手く書いてる。
存亡の危機を乗り切るために統治体系を変化させ
難局を回避するアクロバットな展開の連続で、
その1つ1つがショートストーリーのような話にまとめられている。
それらは話が進むごとに年代が一気に飛び、
一躍英雄になった人物がいたと思ったら突然に過去の人物になっているため、
人物の入れ替わりが一気に来る。なので、登場人物に愛着が沸いて来た
タイミングで新キャラに全入れ替えなんてこともあり、
キャラクター小説としては不完全燃焼かもしれないが、
それを補って余りあるほどの壮大な流れと壮大なハッタリで全編読める。

なんと言っても序章の掴みが上手かった。
心理歴史学というなんともうさんくさい設定があるのだが、
この権威である人物、前述した預言者的な人物。
彼がはじめに読み手へ叩きつける壮大なハッタリで一気に話にハマる。
もうね、序章の後は彼に関する話題が出る度にニヤニヤが止まらんのですよ。
時代を経て語り継がれる彼の話だけで白米が食える。

これが戦前~戦中あたりから書かれたっていうんだから、
海外のSF作家の想像力たるやポテンシャルインフィニット過ぎる。
そういったちょっとした時代背景も考慮して読むと更に味わい深い。
また、原子力が問題視されている昨今にこれを読むのも乙なもので、
原子力を失って食い物にされる文明も書かれてたりする。


そして、なんともゲーム的に感じるんだよね。
SFゲーム作るならファウンデーションを参考にしたいなあ。
パンデミック的に銀河辺境に危機が迫ってきて、
それをいろんな統治スタイルに切り替えて乗り切りつつ、
他の辺境勢力のプレーヤーを経済的に圧迫させ、時には武力にて蹴落とす。
最終的に危機を産み続ける中央の帝国を打倒する。みたいなね。

とりあえずその前にレースフォーザギャラクシーがめさくさやりたくなってきたわ。
鎌倉・藤沢近辺で一晩中ぶっ倒れるまでボドゲ出来るSF好きを緩く募集><
あと誰かレースフォー安く譲ってくれ~。

ファウンデーション2は現在読書中。
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by souka_t | 2012-08-23 07:12 | 文学 | Comments(0)
【文学】トリスタンとイズー物語


ここ最近読み進めていた西欧古典、
トリスタンとイズー物語を読了。


元々アーサー王と円卓の騎士が大好きなので、
円卓の騎士トリスタンの元ネタであるコレを読んでおきたかった。
同じケルト発の物語とはいえ、語り継がれる途上で
融合を果たすという現象は面白い。
シェアードワールドの走り的な感じなのだろうか。

本編では3人の登場人物の関係が変化する事によって
二転三転するのだが、これがなんとも愛憎に満ちてる。
その3人、トリスタン・イズー・マルク王とそれぞれに
互いを認めつつも、時には悪人の姦計に嵌り猜疑し合い、
しかたなく離れてはまた再会を渇望するという、
行ったり着たりなお話。
全ては惚れ薬を飲んでしまったがためにおきる悲劇
として書かれてはいるが、それ以上に禁忌を超えた男女の関係の
主張を感じさせる。それはどことなく金庸作品の中にあるものにも
似ている。王道作品とはこういった芯の強いところに特徴があるのだろう。

それにしても終盤のエピソード「狂えるトリスタン」の項は凄かった。
狂人を演じるトリスタンがこれまで全ての思い出をイズーにぶつけ、
読む側に物語全編を回想させる場面は最高だ。最高に息が詰まる。
惚れ薬のせいでトリスタンは狂人になってまでもイズーに近づこうとする
ことにはなってはいるが、もう薬の効果なんて森の生活編あたりで
切れてたんじゃないかなとは思う。なんとも切ない話ではありますが、
その全編に渡る愛憎っぷりやラストのマルク王とか良い場面満載でした。
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by souka_t | 2012-07-24 20:33 | 文学 | Comments(0)
【文学】エドモンド・ハミルトンの短編集いろいろ


前回の短編集の続き。

【向こうはどんなところだい?】
宇宙飛行士が帰還して、未帰還のクルーの遺族に
悲報を伝えに行ったり、探査中のできごとを回想するお話。
宇宙飛行士って訓練や選別こそはタイヘンそうで、
任務を成功させてしまえば輝かしいイメージが強いが、
それを良い感じにぶつ壊してくれるお話だった。
まるで戦場から帰還した兵士のような書き方というか、
なんとも憤る内容となってる。
なるほど、そういう切り口もあるか、と私は思った。

【帰ってきた男】
埋葬したはずが生きてた!!系のお話。
最近もこういうニュースあったよね。
生き返ったはいいが、嫁さんを寝取られる
という最初の展開は同情モノですが、
次第に主人公事態もろくな人間じゃないことが
友人筋から語られるところがなんとも。
悲壮感漂う結末は良い。ショートショートらしい幕引き。

【凶運の彗星】
異星人が地球にやってくる話。
かなり良い具合に"未知の存在"が書かれてる。
地球侵略の理由や方法などもしっかりと
組み立てられていて、「これぞSF」と頷いてしまう
ほどの内容。ややお約束な結末に至るが、
それまでの異星人の描写で充分楽しめた。

【追放者】
作家が自分の世界に入り込んでしまう話。
個人的にこれが一番気に入った。
物語を作っていると、誰しも一度はこういう
妄想をするんじゃないかな。
読んだ後に「あーあるある、そうそう、こういう願望」
と、つい内容にメタな納得をしてしまった。
めさくさ短いけど、こういう話は大好き。


ここまで読んで返却期限が来てしまった。
大変面白かったです。やっぱりSFっていいよねえ。
次は中国文学か西洋文学を読書予定。
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by souka_t | 2012-06-28 09:35 | 文学 | Comments(0)
【文学】フェッセンデンの宇宙・風の子供


最近はエドモンド・ハミルトンの短編集を取り寄せて読んでます。

タイトルにもなってる最初の作品【フェッセンデンの宇宙】と
【風の子供】を読み終えたのでその感想。

【フェッセンデンの宇宙】

「世界は誰かの実験で生まれた」系の元ネタっぽい。
マッドサイエンティストの手によって作られた小宇宙を
覗き込んで、その生活や進化を見守り、そして突然
世界に干渉して滅ぼしてしまう。まさに箱庭シミュレーションの
プレーヤーとゲームの関係を表したような内容だった。

実際にこの世界が上位の世界の実験室で生まれて、
たまたま放置されてて、たまたま地球みたいなのができて、
たまたま人類が生まれて、たまたままだ実験の進行上
注目されてないとしたら、どうだろう?
そんな「どうだろう?」を考えると眠れなくなる話だ。

凄く星新一っぽい。
星新一の登場人物は淡々しているが、
その点だけこっちはちょびっと情熱的かなって感じ。
大変面白かった。す(S)こしふ(F)しぎのSFかな。


【風の子供】

風の吹き荒れる丘で、風と戯れる少女に出会うお話。
風という自然現象と無垢な少女という組み合わせは、
なんというかグッとくるものがある。
風を生き物として見る少女と
頑なまでに風は生き物ではないとする主人公の
対比がこの話の象徴的で、ラストまでその
違いを引っ張りきってやや後味の悪い余韻を残すところが
個人的には気に入った。

なんだろうなあコレ。
行って帰ってくる話の基本中の基本なのだけれど、
いっしょに連れて帰ってきたお姫様が、
呪われたままって言うのかな。
サッパリするエンドじゃないんだ。
ちょっと黒さっ言うか濁りがあるんだよ。好きだなあこういうの。
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by souka_t | 2012-06-14 22:00 | 文学 | Comments(0)