カテゴリ:文学( 86 )
リトルプリンセス


小公女セーラで御馴染みの原作、バーネット著・リトルプリンセス。
全編朗読しながら読了。

世界名作劇場のアニメ版はライブ・再放送合わせて
4~5回通して視聴してるほどで、この原作版にははじめて
触れました。
セーラ(セアラ)もミンチン先生もアーメンガードもベッキーも
アニメのイメージまんま。あの声で脳内再生余裕で、
読み進めるごとにアニメでの各エピソードが頭に浮かびます。
逆にセルアニメでよくよく知ってる分、
挿絵の絵は生々しくてところどころぎょっとします。
アニメーションのビジュアルがとてもソフトな造りであることを
実感しました。

本書本編において印象的なのは、ところどころで行う
セアラの「ふりごっこ」。
特別寄宿生時代はなんとも妄想深いオモシロな要素だったのに、
小間使い時代は飢えを紛らわす遊びになってるのがひじょーに
切なく健気。芯の強いセアラという人物をよく表してたように思えます。

原作を読み、アニメ版の再限度が大変高いと感じる一方、ラストは
大掛かりなアレンジになってたことに驚きました。
大雨の日のパン屋のエピソードから最後のセアラの計画に
繋がる話は大変良く、アレンジされたアニメ版のクラスメートと
別れを惜しむ内容もまた良い、あっちはあっちでラビニアらしい
小生意気なものいいがたまらない。
原作とアニメともども名作でした。
児童文学なので文体もやわらかくて読みやすいのもいいですね。
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by souka_t | 2015-03-15 07:57 | 文学 | Comments(0)
オイディプスの王


作業月刊突入前に薄いの読んどこう
ということで、文庫のオイディプスの王読了。

なんとなく古典ってことは知っててオチを全く知らず、
表紙の煽りでわくわくしながら読んでたんですが



巻頭のこのテパイ王家の家計図。
これがクセもの。酷いネタバレを含んでいたせいで、
本編ではこの設定が前提と思い読み進めていたところ、
これが真相だったというオチである意味この本の構成自体に仰天した。

本編はどんどん悪い方に話が寄っていくオイディプス王の
ゼツボーっぷりが良いです。まったくの救いナシ、
盗賊"ども"の伏線かき消し投げ突っ放しジャーマン。
まごうことなき悲劇。
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by souka_t | 2015-02-02 18:36 | 文学 | Comments(0)
全相三国志平話


元代に民間で流行った三国志の講談。
御馴染みの三国志演技をベースに、
小刻み良いスピード展開になってたり、
人物が新たな演出による登場や死を迎えたりと、
諸所大胆なアレンジが加えられている。

やはり特筆すべきは冒頭か。
前漢・高祖とその皇后そして功臣達の裁判。
これが平話の序章にしてもっとも見所で、
このやりとりによって前世の業が絡む
転生ストーリーを予感させるが、
本編に入るとぜんぜん全くその件とは無縁のごとく
ダイジェスト三国志が展開される。

演技を知っていると、細かい変更や大胆な省略に
ところどころ楽しめるが、やはり、冒頭のインパクトを
超える展開は本編には無い。良くも悪くもダイジェスト版。
かといつてつまらなくもないのが、これまた微妙なところである。
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by souka_t | 2015-01-23 08:24 | 文学 | Comments(0)
ネクラソフ


サルトルの戯曲。
ある詐欺師が、ネクラソフというロシア人亡命者になりすませて、
フランスの新聞界を沸かせるお話。


はじめて戯曲モノを最後まで読んだけど、
これがなかなか面白かった。
全体的にエンタメ色が強く、どの登場人物も
一癖二癖あり、そしてどこか可笑しい。

主人公ジョルジュが次々と相手を口先で言いくるめる
説得劇がなんとも爽快で、その言動上にはしっかりとした
時代背景や思想があり、サルトルのただならぬセンスを感じます。

個人的に気に入ったのは、
ジョルジュとゴブレ刑事の天才と凡人の対比でしょうか。
凡人たる刑事もその共感をもってシビローと通じる場面は
地味ながらくるものがありました。
あとは、パリ夕刊メンツのジュールの紙面作成へのこだわり、
なんか分かる。


戯曲面白かったので、またなんか読もうと思う。
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by souka_t | 2014-10-15 07:20 | 文学 | Comments(0)
エンダーのゲーム(下)


上巻につづき下巻を読了。

ネタバレ大いに含みます









バトルスクールを卒業してコマンドスクールに移ってからの
盛り上がりが良かったです。
中でも前大戦の司令官メイザーラッカムの登場、そして始めに発せられた
台詞には深い共感を覚えました。
その台詞

「わたしはおまえの敵だ。
おまえがはじめて出会う、おまえより切れ者の敵だ。
敵より他に師はいないのだよ。
敵以外のだれも、敵がなにをしようとしているか教えてくれない。
敵以外のだれも、どうやって破壊し征服すればいいかを教えてくれない。
敵だけが、自分のどこに弱みがあるかを教えてくれる。
敵だけが、自分のどこに強みがあるかを教えてくれる。
そしてこのゲームのルールは、おまえが敵になにができるか、
敵がしようとするなにを阻止できるかを見いだすことにほかならない。
いまから、わたしはおまえの敵だ。
いまから、わたしはおまえの師だ。」



ああ、わかるぅ~ 実践主義、叩かれて学ぶ 叩いて学ぶ、敵から学ぶ、
ゲームにおいても、ものを作るにおいても、仕事においてもこれは当てはまる。
敵を知り 己を知らば の孫子にも通じるものがある。

ここからメイザーラッカムがつきっきりでエンダーにレッスンする展開は
キャキャムフフもので、そこからのどんでん返し結末も良かった。
良い作品でしたエンダーのゲーム。 映像版もそのうちみたい!!
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by souka_t | 2014-09-14 06:08 | 文学 | Comments(0)
エンダーのゲーム(上)


去年だか今年の初めに映画になったエンダーのゲーム原作。
その新訳版の上巻。


話の大筋は含みが多く大変結末が気になる内容だったが、
バトルスクールのゲームの描写がクドいかな。
今だからこそ映像版があるもんだから、
あーこれは映画でいいわってなっちゃう場面が多々。
無重力サバゲーみたいなことやってるんだけど、
わかりづれーよー。

主役のサードの少年を艦隊司令官に育て上げようっていうのに、
1巻の時点では人対人の歩兵戦みたいな訓練ゲームに従事し
てたんで、だいぶ訓練パートに力を入れてるのは自分好みな
感じだけど、それ自体がいまいちなのがな~。

逆に葛藤部分は面白い。
エンダーがどんどん闇に落ちていく感じや、周りの陰謀を
感じさせるそぶりなど、とにかく気になって先を読みたくなる。

上巻の終盤にようやく話に絡んでくる
エンダーの兄の動向も非常に気になる。
バガーとの戦いはどうなるのか、その後の世界大戦は起こるのか、
下巻が楽しみです。
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by souka_t | 2014-08-19 16:09 | 文学 | Comments(0)
時間衝突


バリントン・J・ベイリ作 時間衝突を読了。


タイトルからしてキャッチーで、なんとなく読んでみよって具合に
図書館で借りて読んでみたんですが、とんでもない傑作でした。
タイムワープモノは古今東西いろいろありますが、
これほど独創的なものを今まで見た事が無いです。

話のギミックである時間衝突に関する全容は意外と早く
明かされるんですが、その回避方法を模索する一方で
人種問題を肥大化したような内部争いも同時に消化
していく展開は大変面白く、各世界の事情の書き方が巧い。
特にチンク世界の摩訶不思議な道教チックな書かれ方が良い。

おしむらくは主人公のキャラが薄く、
重要なところはほとんど研究者のアスカーがもっていってた感が
あるところだけど、設定の面白さでそこは完全に押しきってた。

ラストの大団円でも大惨事でもない、ただ結末に向かって予定が
淡々と進行していく感じのシーンは結構好き。
けど、斜行存在があまりにも万能過ぎたのは個人的に興ざめだったかな。
正直、読んでてどんな方法で丸くオチを付けるかずっと気になってたけど、
華麗な着地とは言い難いものだった。しかし、こういう全てが全て丸く収まる
わけじゃない不時着も嫌いじゃない。

バリントン作品は初でしたが、これは他のも読んでみたいと思いました。
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by souka_t | 2014-08-07 07:46 | 文学 | Comments(0)
幼年期の終わり 感想


アーサー・C・クラークの幼年期の終わりを読了。


微妙にネタバレ含む



三世代に渡るオーバーロードと人類の物語を巧みに繋げ
ダイナミックに収束させてました。傑作です。

1953年に本書が書かれたことを念頭に置き、
本編で描かれる未来図を読むと大変面白い。
特に、オーバーロード管理下に置かれた人類が成熟し、
大きな争いや貧困が無くなった後に娯楽が溢れかえり、
それらを消費することに勤しみ人々が創造力を失うという
現象をテレビ視聴時間で表している部分。

今でこそテレビは娯楽の王というより娯楽の1つだけれど、
その他を含めた娯楽の総数というものは右肩上がりだと思う。
遠からずクラーク氏の先見は当たっていると言っても良いだろう。
現に消費は異常に速くなった。
異常に速くなった消費を満たすのもまた消費の環の内から出る
再生産品だと思う。創造物とは言い難い。
昨今で例えれば、
中高生がスマホで動画サイトやソーシャル漬けになっている現象だ。
知識を欲を満たすために多種様々な情報を吸収していると書けば
聞こえが良いだろう。しかし、その実は孤独感からの開放、あるいは
自己顕示欲の代替的別手段であり所詮は消費でしかない。
一定数「自分もやってみよう」となり、動画の作成や写真のアップロード
を試みる者もいる。一見チャレンジャーであり生産者への一歩に見える。
だが、その本質は大体において違うのだと思う。
環の内から生まれるものの多く、ほぼ過半数は縮小再生産でしかない。
そういうものは純粋な創造物とは言わない。

創造物は囲い込まれた内から生まれるものではない。
幼年期の終わり第三部冒頭はそれを私に気づかせてくれた。


さて、本編ではその人類の平時がゆえの行き詰まりを
別世界の構築によって抗う手段に出るが、
人類の次の形態への進化によってうやむやとなってしまう。
次の進化を描く際にアシモフ氏の場合は
一度宇宙に進出した後に訪れるものとしていたのに対し、
クラーク氏は宇宙への進出を完全に阻み適度に管理した後に
その時が訪れるように描いてる。この違いが非常に面白い。

幼年期の終わりというタイトルもまさにそれを表し、
最終的に人類は大いなる意思と一体となる進化を遂げるのだけど、
その世代が発生するメカニズムに関してはかなり端折ってるのが
唯一の不満点。それでも充分に楽しめる作品なのだから凄い。
納得のオールタイムベストだわなー
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by souka_t | 2014-06-21 07:39 | 文学 | Comments(2)
深海のYrr 下巻


ようやく下巻を読了し完結。

序盤のイールの実態を明かしていくまでととコンタクトを試みる展開は
かなり面白かった。ここまで一転二転してイールの実態が生物上の分類で
とんでもないものになっていく過程は最大の見せ場だったと思う。
中盤から結構なし崩しなパニック状態でしたが、
最後の陰謀の流れも順当に伏線を回収しつつ話を畳んでた感じでした。
なんだかんだでアナワクがヒーローポジションだったのも悪くなかったかな。

下巻のほとんどが米空母インディペンデンス内で話が進むのだけど、
艦内の描写がそれなりに細かいのに位置関係が掴みづらい
のが惜しいかな。 ちょっとした見取り図付けてくれると良かったかも。

上中下と全編に渡ってやたらめったら映画の例えをはさんでくるのは、
映画のような作り物な話への皮肉とも取れたけど、
最後の展開はそれこそ映画っぽかった。どちらかというと映画化意識の映画例え
だったのかな。

怒涛の勢いで結構な数の登場人物が召されたのは唖然とした。
中巻でもまさかの人物が亡くなったけど、より一層容赦なく始末してきて、
それこそイールの絶大さと、人の結束の脆さをよく表していたと思う。



よくよく思い返せば、ボードゲーム版から入って原作読んだ訳だけど、
この話からあのゲームは想像できな~い。
よくああなったなあ、ちゃんと対戦ゲームになってたもんなー。
イールとコンタクトを取るためにがんばってる感じはするけど、
コンタクトとって電源ケーブルみたいになにかエネルギーを供給して
くれてる感じだったからなー。てっきり原作ではイールとのコンタクトを
各国が競って新エネルギーを取り合う争いをする話だとばかり!!
良い意味でぜんぜん違った。
この原作でボドゲ作れとなったら、インディペンデンス内の
研究者vsイールの図式で研究者内に米軍の息が掛かったスパイがいるみたいな
正体隠匿協力ゲームしか思いつかないわー。
はいはいパンデミックパンデミック。


という訳で、すごい長丁場でしたが深海のイール面白かったです。
企画止まってるみたいだけどもし映像化したらちょっと見たいかも。
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by souka_t | 2014-06-05 21:57 | 文学 | Comments(0)
深海のイール(中) 感想


やっと読み終えたー、上巻に引き続き中巻です。

上巻で風呂敷を広げ終えたのかなと思いきや、
ここからが本番だってぐらい、中巻では未曾有の大災害に発展して行き、
読み進めるごとに「どうすんだこりゃ?」状態でした。
いち早くその実態らしきものに気づいたヨハンソンが、
いったいいつ持論を展開するのかが最大の見所で、
その舞台装置が整うまでをじっくり見せられ、
整い始めた後も人間模様をじっくり見せられ、
ようやく全て整ったところでの持論発表の場面は
期待通り興奮モノでした。
薄々、もうそれしかねえだろうって感じてた結論ではありますが、
それを論理的にこじつけて納得させてしまうところが、
SFなんですよね。これは見事なSFですわ。

中巻後半以降、大災害の実態とコンタクトするために
作戦が議論され、道具を整え、人材も整えていくんですが、
その中の新キャラSETI研究員がまた良い味を出してます。
自分も10年ぐらい前にパソコンにSETIのソフト入れて
地球外生命体を割り出す計算に微力ながら協力しましたわー。なつかしぃ~。
あれどうなったんだろう。

終盤のアナワクのお郷帰り編は結構長く、
「脱線し過ぎだろう!」と、はじめはぐんなりしましたが、
中巻ラストのグレイウォルフとの会話での締めが
文学作品ばりに綺麗に決まってたので、読み終わる頃には
やっぱり必要だったと思い直しました。
イヌイットのトリビアも含めて、よくよくモノを詰め込んだ話に
したなあと、感心することしきりです。

さあ、次は下巻。 Yrrとのコンタクトが
どのような結果になるか楽しみです!!
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by souka_t | 2014-02-14 09:18 | 文学 | Comments(0)