カテゴリ:文学( 85 )
宇宙船ビーグル号

今年最初の一冊がこれ。船モノのSFですよ。

いろんな分野の学者を乗せて
未知の宇宙を探査する話で、地球の常識では計り知れない
とんでもない異星人と矢継ぎ早に遭遇しては、分析して作戦立てて、
撃退する、まさにSFな展開目白押しな一冊。

戦いの合間で船内派閥闘争もやるんだけど、
ことごとく主人公の統合科学スゲー!って感じの話になる。
昨今のラノベの主人公無双に通じるものがあるほどだ。
ほぼ完璧な存在として主人公が書かれている。

印象的だったのは、そんな主人公にして、
派閥争いの政敵であるケントの人気の理由がわからない
と言ってしまう場面。
「ケントは人間くさ過ぎるから人気」みたいな返答をもらうんだけど、
このあたり、人をまとめるのは知性的な優秀さのみにあらず的な
展開をみせるとおもいきや、
主人公が大暴走して、その挙句、艦内を掌握してしまうどころか、
エンディングではそのケントすらも屈服して
統合科学のノートを取ってしまうという幕引き。
ホント、徹頭徹尾完璧超人な主人公だったのが驚いた。

こりゃケント総受けですわ。






[PR]
by souka_t | 2017-06-06 10:22 | 文学 | Comments(0)
火星年代記

初ブラッドベリはコレ!!

火星年代記 読了。
中盤まで図書館に通って読んでたので、
途中で棚に新版が入ったり旧版が出たりで
なんだかんだで両方収録のエピソード読めました。ラッキー。

おおむね面白かった。理詰めで最後に驚きを与えてくれる系ではなく、
なんというか、詩的であってよもやまであったり、時には警鐘じみたり、
狐につままれたような御伽噺のようでもあったりと、
同じ皿の上でいろんな味付けの料理を食わされた気分な読後感。

結構前に、ロケットの夏っていうエロゲーをやったことがあったんだけど、
たぶん元ネタこれだったのかな。 最初のエピソードの名前だった。
それはさておき、
本編でわりと早々に意外な感染病で絶滅したことになった火星人ですが、
その後に出てきた実態がないアレや火の玉のアレや砂船でホットドック屋を
取り囲んだアレとか結局なんだったんだろうという疑問が残ってしまった。
最後のエピソードで華麗にそのあたり解消してくれるのかなーと
期待してたんだけど、いやはや、ラストは上手い事言ったエンドでした。
そのあたりがちょっと好みの作風じゃなかったけど、
どのエピソードも何かしら面白味があったので、飽きずに読めました。

ブラッドベリの違う作品も読んで見ようかと思います。








[PR]
by souka_t | 2016-10-29 19:37 | 文学 | Comments(2)
分解された男

虎よ虎よの次はコレだろってことで分解された男読了。
今回は図書館で借りず、避暑もかねて通って読破したので
写真はナシです。

エスパーがいたら世の中はこうなるっていうのがよく書けてた。
それだけでも充分面白いんですが、更に犯罪者と警察の
知略戦も大いに盛り上がり、序盤で散りばめられた伏線を
どう回収するのかワクワクしながら最後まで読めました。
傑作です。


以下少しネタバレ含む。




最初、大企業の社長がライバル企業の社長を
殺害することを決意する辺りがだいぶ強引というか
雑な理由付けだなあと思っていたんですが、
最後まで読むと、ああなるほどって感じで納得。
種明かしが心理クイズみたいだったのと、
エスパー側がやや反則的な手段に出るところは
ちょっと自分の趣向とはそれる部分でしたが、
殺人にいたる下準備や、警察側の執念ともいえる捜査など
全編に渡って見せ場が多く、虎よ!虎よ!の時と
同じぐらいいろんなアイデイアのフルコースを食べた気分です。
ラストの現代の極刑に一言申す的な部分も
最高にSFしてて良かったです。





[PR]
by souka_t | 2016-08-15 18:14 | 文学 | Comments(0)
選ばなかった冒険 光の石の伝説

二分間の冒険で有名な児童文学の金字塔・岡田淳先生の作品
選ばなかった冒険-光の石の伝説-を読了。


面白かった。
小学生が異世界に飛ばされて冒険しちゃう系といえば、
もう岡田先生なんですけど、やっぱりいいすね。
特に本作はデジタルゲームのロールプレイングが全盛だった
頃の世情がよく反映されてか、二分間の冒険と比べて
より舞台が現代的になったように感じました。

ラストが凄く爽やかに終わるんですけど、
残った不思議がいっぱい。あれはどういうことだったんだろう
これはどうしてそうなったんだろうという疑問が尽きなくて、
人によっていろんな解釈がありそう。

折角なので覚えてる謎を挙げて自分なりの解釈をしてみようと思う。



1.そもそもあの世界はなんだったのか?

眠ることで現実に戻ったりするので、やはり夢の世界。
人の脳の一機能として潜在的に備えている夢想上で世界を構築する
力によって作られている。そしてそれは他者と共有するネットワーク機能
をも備えている。


2.なぜあの世界へ行けてしまったのか?

やはりゲームソフトがキーとなっていると思われる。
そして学校という場所も関連しているのは間違いない。
ゲームソフトと学校にある特定の場所が合わさって
あの世界へ意識が飛ばされる。
これは学校側とゲームソフト会社側が結託した
大きな実験場となっていたのではと思われる。すなわち
次世代バーチャルリアリティを開発してる超大手ゲーム会社による
ソーシャル実験の場として舞台の学校が選ばれた。
被験者は脳機能を操作されるので非常に危険な実験を
秘密裏に行われていたのではと思われる。


4.誰があの世界で主役だったのか?

もちろんユウタではない。そしてマナブでもない。
主役の定義が他大勢と異なる役割を与えられてるとするなら、
逆に「なんの役割も与えられていない者」でも当てはまる。
それはおそらくあの世界を終わらせたアカリである。
ユウタやマナブはゲームを遊び、学校の装置であの世界を夢見るよう
覚醒させられた。 ゲーム・装置の2つの要素を合わせ正規ルートで
至ったのだが、マナブに連れ添ってたまたま付いて来てしまった
アカリは"ゲームをプレイしたことがある"の要素が抜けた
特別な存在だったのではと思われる。
ゆえにあの世界を終わらすことが出来た。


5.闇の王は何者だったのか?

おそらくは最初の被験者。あの世界のベースを作り出した者。
学校の背景で構築されているのは、学校の生徒であるから。


6.闇の王の儀式とはなんだったのか?

光の石は願いをかなえる。儀式はそれを実行する行程である。
そしてその願いとは「世界の存続」。
最初の被験者であり世界の創造者であった闇の王は、
日々争いキャストの絶対数が減る世界の帳尻を合わすために、
光の石を使い定期的にキャストの補充を行っていた。
本来「闇の王」という役割もキャスト間で巡るはずのところ
執拗に自分の世界へしがみつく本編の闇の王は、
もしかしたらクラスカーストの弱い生徒だったのかもしれない。
被験者になりこの世界にハマリこんだ登校拒否児の可能性もある。


7.バトル・メル・もぐら男

NPCであることは違いない。
世界実験の計画者をモデルにしたキャラクターである可能性もある。
もぐら男だけ役割を捨て銃を取る例外行動を起こしたのは、
これまた例外的にこの世界へやってきてしまったアカリと干渉してしまい
AIに変調が起きたからと思われる。


8.剣と魔法ではなく銃と魔物の世界なのは?

ここが自説を難しくする要素である。
小学生が構築した世界にしては、銃とケモ兵士の世界は渋すぎる。
この世界には魔法が存在しないのだ。
たまたま被験者1号(本編の闇の王)がそういう趣味があるとかも
ありえはするが、これは世界構築の際に計画側からある程度ベース設定が
テンプレとして用意されていて、テクスチャを被験者が妄想構築した
とする見方が自然。 わかりやすく書けばゲームソフトと被る部分が
ベース設定。学校とかの背景が被験者がツクった。

9.光の石とは?

夢の世界を制御する装置あるいはプログラムのコア部分。
破壊を願ったことにより世界も消滅した。
また、光の石がキャストの記憶を操作していたため
敗退者はこの世界のことを忘れ現実に戻される。
破壊したためアカリとマナブは記憶がそのままで戻れた。



どうだろう。





[PR]
by souka_t | 2015-12-24 10:02 | 文学 | Comments(0)
仙人の壷

中国の志怪・伝奇をまとめた漫画+蛇足解説本。
志怪・伝奇なんて無数にあるもので、
特に超短編で狐に化かされたような不思議話をまとめた一冊である。

読後、思ったのは、物語やお話を我々は小難しく凝ったモノに考え
過ぎてはいまいかということかな。
「あは、それって不思議だね」でも充分な場合もあるんだなということ。
その不思議にはどういう意味や思想や教訓があるのか、
そう我々は話の裏側にあるものに疑って掛かってしまうきらいがある。
本書の志怪・伝奇の最初の3編ぐらいはいろいろと自分の中で解釈をつけて
いわば強引に納得させてたが、それ以降はもう「不思議だね」としか
言いようが無く、その意味を考えるにはあまりに要素が少なく、疑って掛かるのも
ばかばかしくなる。 全般的に「なんだこりゃ」である。
かといって、つまらなくもない。
むしろ、次はどんな不思議が来るのか楽しみになるほどで、
ファーストフード感覚な面白味に満ちている。
中国の志怪・伝奇をまとめられた文献が山ほどあるのも納得する。

折角なので、本書にまとめられた志怪・伝奇がどれぐらい意味わかんない不思議か
例を出して比較しよう。

まず意味が分かる方、以下は三国志演義からの抜粋。

ある男が、易者に余命わずかと診断される。
寿命を延ばすには山にいる仙人を世話しろと言われ、山へと入る。
そこには赤い服と黒い服を着た仙人が囲碁に興じている。
男は囲碁の邪魔にならないように仙人の食事を世話し、
最後に懇願し、寿命を大幅に延ばしてもらいましたとさ。


これは有名な管輅の話だが、丁重に世話した恩恵として
寿命を延ばしてもらうという至極自然な流れの小話。
では、本書にある志怪・伝奇の一編を取り上げよう。

あるきこりの男が山に入ると、二人の子供が囲碁を打っている。
きこりの男がそれをじっと見守ると、子供の1人からナツメヤシを1つ貰い食べる。
更にじっと見守ると、子供に「だいぶ時間が経ったからそろそろ帰れ」と言われ、
家に帰ると、そこは100年後に時間が進んでいて誰も知る者がいなかった。


どうよ、この理不尽さ。すごくね?
こんな後者の話がいっぱい詰まった一冊です。





[PR]
by souka_t | 2015-12-04 20:08 | 文学 | Comments(3)
虎よ、虎よ! 感想


瞬間移動の「ジョウント」1ネタだけでも充分話になってるのに
場面が変わるごとに斬新な舞台やガジェット、奇抜な風習など
物凄い量のアイディアが投入されてて凄過ぎる。

それが昨今定番化してるのも感慨深い。
思いつく順に上げると、009の加速装置や ナデシコのボソンジャンプ、
逆シャアの精神感応する物質サイコフレームなんかもそうかな。
頭に血が上ると顔にマーキングが浮かび上がるなんて
SF系じゃなくてもいろんな作品に散見されるけど、
これも虎よが初出なのかな?

さて、アイディアの泉のような作品なんですが、
話自体もすこぶる面白く。主人公フォイルの復讐劇という
大きな軸だけ追っても大変引き込まれ、それに関わってくる
1クセ2クセある登場人物達の陰謀もミステリアスで良い。
フォイル自体がかなりのタフガイなので、
よく乱闘しよく殴り飛ばされと、所々で暴れアメコミの
ダークヒーロー的な格好よさを放ってるのも魅力でした。

一番インパクトがあったのは、炎の男の伏線が回収される
場面でしょうか。 意識が弾けたり反響したりノイジーになるのを
ああいう文章フォーマットを半壊させる手法で表現するとは凄い。
(読んだの翻訳だけど、源本もあんな感じなのかな?)
50年代にこの作品読んでたら今の数十倍は
驚きと感嘆に満ちたと思う。当時の人がうらやましい。
古典SFってたいていそうなんだけど、本作は特にそう思います。





[PR]
by souka_t | 2015-10-17 07:32 | 文学 | Comments(0)
マヨネーズ・ドレッシングの本

普段なら絶対に読まない本を借りてこよう
ってことで、図書館から借りてきました。 マヨネーズの本!

タイトルに全く嘘偽りなし。一冊まるごとマヨネーズ尽くし。
マヨネーズの歴史から、日本最大手のマヨネーズ会社
キューピーの創業話、手作りマヨネーズのレシピも豊富、
市販との比較データもみっちり。ぬかりなくマヨネーズな本でした。

結構ふざけた動機で読んだものの、大変感化され、
20ページぐらい読み進めた頃には、いてもたってもいられず
手作りマヨネーズに挑戦しとりました。
大変分かりやすくかつ事細かなコツもばっちり載ってるため、
これ一冊で誰でも余裕でマヨネーズが作れることでしょう。
本書でも多くの作例がある通り、マヨネーズはカスタマイズが効く。
しかも、完全自作どころか、市販のマヨネーズをベースにして
いぢることも推奨してたりで、その内容はマヨいぢり欲を刺激します。

普段何気なく使用しているマヨネーズの
新たな魅力に気づいた一冊でした。 良書です。









[PR]
by souka_t | 2015-09-09 13:49 | 文学 | Comments(0)
人間になりたがった猫


ゲームステマ半分ではじめた朗読も最終回。
ロイド・アリグザンダー著 「人間になりたがった猫」

タイトルからして人間になるために帆走する猫の物語かと思いきや、
冒頭から大魔術師によって猫が人間に変えられてはじまる物語でした。
そのインパクトが強く、冒頭からなかなか読ませる作品で、
大魔術師による人間否定から大きなテーマを叩きつけられ、
結末ではそれをよく消化し、感動的に締めくくっていました。

物語中の注目点は主人公・人間になった猫のライオネル君の
心情の変化でしょうか。物凄く人間に憧れて、人間に変えて
もらったものの、帰ってきて猫に戻ることは前提でいながら、
人間の町で様々な経験を重ねるうちに次第に人間性に
目覚めてしまうという、なかなかにして心温まる展開。

登場人物も変にヒネってなく、
親切な人は親切・変人は変人・悪いやつはド悪い
といった児童文学然とした具合でしたが、
それでも各々個性的で大変楽しく物語を彩っていました。

たまたま図書館でタイトル借りしてきましたが
結構な良書で大満足です。 面白かったです!
[PR]
by souka_t | 2015-04-22 06:22 | 文学 | Comments(0)
小さなろばのグリゼラ


朗読2冊目を読了。
今回は海外児童文学、デンネボルク作・小さなろばのグリゼラです。

あるおばあさんから譲り受けたロバといっしょに
少年があっちこっち冒険するお話です。

イントロダクションが牧歌的な内容だったので、
中世ぐらいが舞台のお話かと思いきや、
いきなの神父様がオートバイに乗り出して吹きました。
そのあと客船に乗ったり、空港に行ったりで
かなり近代のお話と分かるんだけど、
車が行き交う都会にロバと少年というミスマッチ
がまた良いんですよこれ。
そしてところどころで出会う登場人物も味がある。
時には少年の前に立ちふさがり、時にはロバと少年を引き離し、
時には少年の助けになってくれる、まさに冒険の醍醐味たる出会い。
なかなか王道的な要素満載な作品でした。
[PR]
by souka_t | 2015-03-24 03:24 | 文学 | Comments(0)
リトルプリンセス


小公女セーラで御馴染みの原作、バーネット著・リトルプリンセス。
全編朗読しながら読了。

世界名作劇場のアニメ版はライブ・再放送合わせて
4~5回通して視聴してるほどで、この原作版にははじめて
触れました。
セーラ(セアラ)もミンチン先生もアーメンガードもベッキーも
アニメのイメージまんま。あの声で脳内再生余裕で、
読み進めるごとにアニメでの各エピソードが頭に浮かびます。
逆にセルアニメでよくよく知ってる分、
挿絵の絵は生々しくてところどころぎょっとします。
アニメーションのビジュアルがとてもソフトな造りであることを
実感しました。

本書本編において印象的なのは、ところどころで行う
セアラの「ふりごっこ」。
特別寄宿生時代はなんとも妄想深いオモシロな要素だったのに、
小間使い時代は飢えを紛らわす遊びになってるのがひじょーに
切なく健気。芯の強いセアラという人物をよく表してたように思えます。

原作を読み、アニメ版の再限度が大変高いと感じる一方、ラストは
大掛かりなアレンジになってたことに驚きました。
大雨の日のパン屋のエピソードから最後のセアラの計画に
繋がる話は大変良く、アレンジされたアニメ版のクラスメートと
別れを惜しむ内容もまた良い、あっちはあっちでラビニアらしい
小生意気なものいいがたまらない。
原作とアニメともども名作でした。
児童文学なので文体もやわらかくて読みやすいのもいいですね。
[PR]
by souka_t | 2015-03-15 07:57 | 文学 | Comments(0)