【漫画】遠藤浩輝短編集1


久々に漫画の感想、 遠藤浩輝短編集1。

アフタヌーン連載のEDENで有名な遠藤先生の短編集です。
発売当時の90年代末に短編集としては異例の売り上げを誇ったらしく、
内容はかなり衝撃的かつ意味深なものでした。
以下3編それぞれの感想


■カラスと少女とヤクザ
タイトルが表すとおり、カラスと暮らす奇妙な少女と組を追われたはぐれヤクザ
の出会いと短い生活を描いたもの。
EDENにも言えることだけど、堕ちる人間の描き方がホントに秀逸。
ラストの容赦ない展開とか、ここまでやると美学すら感じる。
子供の頃の回想シーンやカラスの話やらフロイトのたとえを小刻みよく挿入し、
よくよく味わい深い内容として消化してるあたりに力量を感じずにいられない。
非常に面白いと思う。

■きっとかわいい女の子だから
寝たきりの叔父のめんどうを一人で看ながら学校に通う女子高生のお話。
母・姉は交通事故で既に亡く、父も愛人の家にシケ込むという状況下、
叔父のめんどう看る健気な少女を描く・・・ なんてことは遠藤作品ではアリエナイ。
序盤こそはちょっとした恋愛やお友達との談話など普通の女子高生らしい
日常が描かれるも、後半の父親の愛人に会いに行くところからの急展開は
目を見張るものがある。サイコ化する少女の心理描写や回想が丁寧に描かれ、
かつユングや花のたとえなど小賢しさもまた良いテイストになってます。
これまた衝撃的な話ですが、良く出来た短編です。

■神様なんて信じていない僕らのために

演劇部の人間模様を描いた作品。
これが物凄く秀逸、話の構成が少し複雑に組まれていて
ハンニバルのモデルとなった殺人鬼のヘンリーを取り扱った劇を演じる
本筋と演劇部各員の恋愛模様や奇妙な関係を巧みな二重構造で描いている。
劇の役に投影された役者や道具係達の悩みや苦悩が上手く絡め、
時には台詞に酔いしれ過ぎずにヒョウタンツギのようなアクセントを盛り込むあたりも
ニクイ演出。 短編のくせにここまで深いものを作り上げる事自体驚きです。


とりあえずブックオフで100円で買ってきた割には、最近読んだ漫画の中では
トップクラスの満足度でした。 容易に手に入るので、まだ未見の青年漫画の好きの方は是非。
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by souka_t | 2007-05-04 10:56 | 描きつくれば漫画系 | Comments(0)
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