初恋温泉 hondana

吉田修一さんの短編集「初恋温泉」です。

温泉宿に訪れる様々な男女を書いた作品で、
どの話も一癖あって面白い。

中でも印象深かったのが、
男女共に不倫同士が温泉旅行をする話と、
バリバリのやり手保険会社員が旅行前日に妻と喧嘩して
独りで温泉に行く話し。

前者は、不倫してる旦那と妻の会話が非常に思わせぶりで
バレてるのかバレてないのか、読んでる方もヒヤヒヤしてくる感じが
良く、不倫相手の女性もこれまた思わせぶりな言動やラストの行動が
ミステリアス。

後者は、旦那が業績を上げてお給料が上がり続けてるところで
妻と大喧嘩してしまうんだけど、これがまた女がゆえのめんどうくささ
が発端でやらかしてしまうところが実に生々しい。
本文を見るにそこまでぞんざいに扱われてるワケでもないみたいだし、
現にプラズマテレビ買おうとかいっしょに旅行行こうとかしてるワケで、
それで、「そんなに稼いでどうしたいの」とか「わたしを見てない」
とか言われたら、そりゃグーパン食らってもしかたないと思う。
これは絶対にがむしゃらにがんばっとる男に言っちゃいけないことだ。
沸騰しやすい旦那なら殺される。そう思えるほどリアルな独り旅動機。

全編にわたり読みやすく分かりやすい表現で書かれていたり、
一編ごとにキャッチーな一節があるのが素晴らしかった。
心の空虚を「ブロックパズルをいくら動かしても1つ空きが出来る」
とか「、男の一人暮らしをレンタルしたアダルトビデオを見ないで
返却しにいくようなもの」とか、飛行場ニ出た時を
「一瞬音がなくなった世界になる」とか、
ああ、わかるわかるって感じが最高。








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by souka_t | 2016-02-12 21:02 | ノベル | Comments(0)
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