盤上の夜


伝統的盤上ゲームを題材とした6つのオムニバスストーリー
を収めた一冊。
去年ぐらいに話題になってたので気になってました。
市内の図書館で発見し読了です。

いきなり肢体欠損の棋士とか
おもっ苦しいのがきて驚いちゃったけど、
どの話も良いですね。
個人的には、「人間の王」っていうチェッカーを題材にした
エピソードが好きです。
コンピュータ解析によって死に行くゲームに
最後まで王者だった人のお話で、
全エピソード中いくつか登場する
「ゲームが死ぬ」という表現が一番使われるお話でもあります。
その表現が非常に印象深く、
一切の運の要素が無いゲームの存在的な重さと、
いずれ訪れる最善手解析完了という終幕の儚さを感じました。

このエピソード群の中には、囲碁・チェッカー・将棋ときて
それら完全情報ゲームと対象に麻雀も取り扱っていて、
最後のエピソードでその打ち手同士が交差する所も
良い読みどころでした。

そして、私が以前いろんな書籍を調べて
制作したチャトランガのエピソードもありました。
これだけ古代インドの大河ドラマになって、
かなり毛色が違ったエピソードになるのですが、
これこそが本来のエピソード0だということは
チャトランガフリークならすぐに読み取れます。
全ての交代手番系の盤上ゲームの始祖、かもしれない
チャトランガこそが、全ての盤上ゲームのドラマの
始祖であり根源でもあると。
まさにそれが誕生する瞬間と、それが個人の中で孤独に
体系化していく様が書かれているわけですね。
夢の中に登場する「四方扉」とか、チャトランガの4人用の方の
原型もほのかに匂わすあたりがたまりません。

なかなか乙な一冊でした。
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by souka_t | 2013-06-25 23:39 | 文学 | Comments(0)
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