2013.moon_up_04
カタンというゲームがある。

ボードゲーマーにはもれなくお馴染みで、
電源ゲーマーも名前ぐらいは見たことがある人が多いと思われる。
世に出たのは90年代で既に前世紀の事。
ここからボードゲームに目覚めたという人も多く、
今なお高い人気を誇る。
私もドイツゲームの入り口がカタンであったため、
累計すると何度もプレイしたものだ。

カタンの魅力とは何だろうか?

2つのダイスを使った資源抽出のギミックだろうか。
勝利点10を軸としたバランスの良いビルドコスト配分だろうか。
分割した六角ボード上に於ける陣取り的なビルド競争だろうか。
一喜一憂する引き運を演出するカードドローだろうか。
資源を1つ没収と産出停止という絶妙な妨害を起こす泥棒だろうか。
あるいはコミュニケートを要する交渉だろうか。
そもそもが島を開拓するというテーマとの親和性だろうか。
それら全てだろうか。
言い尽くし難い魅力の詰まった傑作であることには違いない。

では、私が好きなカタンの要素を1つ挙げるとしよう。
それは、【初期配置決定時からはじまる戦い】である。
諸君はどうかは分からないが、
私は編成という要素がことのほか好きだ。
編成とは事前の準備であり、これにより3~4割の優位を
得たり失ったりするのが美であると私は考えている。
私はこの要素が強いものを【編成ゲーム】と呼称し、
自らもその精神を体現したゲームを作ったりもした。
では、カタンが編成ゲームかと言われれば、
そう言えることもあり、言えなくもある。
だが、初期配置決定の時点で確率論的な有利不利は
ある程度見えるのは確かであり。その有利不利が出きった瞬間が
実に美しいのだ。 
「そうか、私はこの立ち位置からゲームをはじめるのか」
という入り口に立つ感覚。これがゲームの始まりとして素晴らしく、
既にドラマへの没入感を演出しているではないか。
私ぐらいのカタンプロから言わせれば、
この瞬間を味わった後は、もはや勝ち負けは関係ない。
その始まりから最後はどうなったか、その過程が重要なのだ。
ゲームとは即ち物語なのだから…

カタンの作者・クラウス・トイパー氏の別作に
レーベンヘルツがある。
これもまた、カタンに負けず劣らず初期配置決定が
重要になるゲームだ。相手の隣に城を張り付けて牽制するなどは
もはや基本戦略だろう。あれはいいゲームだ。

私が編成ゲーム好きという背景には、
元々電源ゲームのコアゲーマーだったという遍歴もある。
電源の編成ゲームとなると、だいたいSLGかSRPGに絞られるのだが、
特に好きだったのが、伝説のオウガバトル。
このゲームが秀逸なのはカオスフレームというモラルポイントの存在で、
強い部隊をひたすら敵にぶつけるとどんどん下がってしまい
民衆の支持を得ない団体に成り下がっていくところにある。
それ故に、弱けれど人徳の高い部隊も事前に併設し、占領班に当てなくてはならない。
また、兵種による特性で地形の移動速度が大幅に変わるため、
山岳部隊・海部隊なども用意しておくと優位に立てることが多々ある。
ただ強いエースユニットを複数育てるだけでよいファイアーエムブレムとの
違いがここにある。試行錯誤による編成がかなりのウエイトを占めるのだ。

編成ゲームとの出会い。
私の編成ゲームとの出会いはおそらく、フジテレビ深夜番組「征服王」だろう。
決められたコスト数で軍隊を編成するウォーゲームで、
番組ではその悩ましいはずの編成時間は省かれている。
当時私は、厚紙で征服王のミニモデルを自作し、学校の図書室で何度かプレイした。
番組では一進一退で途中にプレーヤコメントをはさみ、
大変面白おかしく演出されていたが、今を思えばゲームセンターCXの根本的な
面白さと同じものがそこにあったと言えよう。
で、実際にミニモデルで遊んだ時は、それなりに面白くはあったが、
自分の部隊編成を考えている時が実は一番面白かったという結果だった。

編成ゲームの宇宙。
ある意味において、私はドラゴンクエストも編成ゲームであると思っている。
「ドラゴンクエスト3などは、始めにルイーダの酒場で仲間を設定するから、
これまさに編成ゲームだろう?」と思った方もおられよう。
否、それは否であり、私の言う「ドラクエは編成ゲーム」という意味合いとは異なる。
言い方が悪かった、「フィールドRPGの多くは編成ゲーム」である。
前述で編成とは準備と語ったが、フィールドRPGに於いて、
ダンジョンに挑む際に賢人は充分な準備を施して行くものである。
資金を確保し、武具防具を新調し、回復解毒の消耗品を数多くストックする。
以前これを「遠足の前の楽しさ」と表現していたが、これまさに
編成ゲームの核となる部分である。
しかし、昨今はレベルデザインの概念が強くなり、編成ゲームとしての
電源RPGはやや衰退の予兆がある。 進む先々に必要な物がだいたい
配置してあり、それほど下準備せずにダンジョンに挑んでも攻略できる
親切さがそれに該当する。編成ゲームは不親切と言わんばかりであり残念だ。
そして、今だから言おう、クロムハウンズはまごうことなき編成ゲームであった。
それは自分の機体をいぢり回す作業であり、チームの面々と打ち合わす
ロールの割り当てや作戦地図における侵攻ルートである。
練りに練った作戦で対人戦に勝利した時の達成感は、電源ゲーム史においても
群を抜いていたと言っても良い。


生み出された編成ゲーム。
私の作ったゲームのうち、攻城ペンギン・クラウンテイカー・ライトウォーズは
純正の編成ゲームと言っても過言ではない。
TAIBANはどちらかというと編成してからゲームというよりか
テーマ的に編成するまでのゲームである。
編成するまでいろいろとイザコザがあったと想像すると
より味わい深いゲームと言えるだろう。
この世に4つしか存在しないウサギ決死隊も実は編成ゲームであり、
ある意味に於いて、対戦型編成ゲームに一石を投じる内容である。
所持している超運が良い4人のボードゲーマー達は是非やってみて欲しい。

いずれ生み出される編成ゲーム。
今構想しているアナログゲームも、実は編成ゲームっぽいものになる予定。
春のGMに間に合えばこれ幸いである。
ライトウォーズの"編成ゲーム部分"を拡張する追加ユニットも用意がある。
万が一期待してる人がいたらGMで受け取って欲しい。
そして、カタンの話から切り出してアクロバティックに自作の自演セールス
テキストになっているが、デジタルの方の新作「鉄片の記憶」も
編成ゲームに落とし込む努力をしている事を記しておきたかった。
実はデジタルの方ではほとんど編成ゲームを作ったことが無いのだ。
1度だけ超短篇をやったことはあったが、そこから引き伸ばすことは
一切していなかった。
なぜなら、編成ゲームの可能性をもっと大々的な形で示しておきたいと
考えていたからだ。そういう意味でも鉄片の記憶を楽しみにしていて欲しい。
完成するのはいつになるか分からないが…
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by souka_t | 2013-01-28 11:29 | 日々よしなし事系 | Comments(0)
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