ゲームマーケット2012秋であったこと。
前回までのあらすじ。


ゲームマーケットにはサークルの数だけドラマがある。
今回も、とある自称16歳の少年を通して
その一角を覗いてみよう。


11月18日 朝4時。

彼は容赦なく冷え切った部屋で目覚めた。
習慣的に演算機へ火を点すと、
一言つぶやき、朝刊を読む父親のような眼差しで
数時間の流れをあらいざらう。

エヴァQの感想文が増えてきた。

彼は考えた。
ハイスクールに通っていた頃は旧劇場版に夢中だったが、
それから十数年経ってから序・破は誘われて行ったに過ぎない。
初日に行動を起こさなかった今回のQは、どうも縁を感じない。
対照的に、ゴティックメードは事前に初日の席を予約し、
電車に揺られて1時間以上の遠出という熱心さ。
7年という休載期間を経てしても、自分は今なお
FSSファンであると実感してしまったが、今なおエヴァファンか
という疑問に対しては、Not for me なのかもしれない。
モーターヘッドよりかっこいいロボットを彼は知らず、
デコースとヨーンの決着以上に気になってる話は無い。

「エヴァってなんだったんだろうな、
掻き回すだけ掻き回してさ、旧劇ン時から何一つ腑に落ちねえよ」

ディスプレイの前で悪態をつくと、
殊勝にも荷物の点検をはじめ、そして朝食を取りに
一階へと降りる。

シンと静まり返った台所で、ガス火を炊き、
水鍋を沸かす。そして、一握りのパスタを入れた。

パスタが煮込みあがるまでの15分、
彼はプレイやん(注*1)に入れた音楽を愉しむ。
それは暗く陰鬱で、どこか切ない、レクイエムのような音楽。
ヴァルキリープロファイルのレナスが魂を選定する時の曲だった。

「どいつもこいつもベリナスを弱キャラ扱いして
速攻天界に上げやがって・・・まぢファックだろ」

彼は"この身は神に捧げた 私は神の敵を斬るのみ"
というベリナスの戦闘ボイスにひどく中二心を刺激され、
大変お気に入りだった。しかしそれも10年以上昔の話。
ひとしきりあの陰鬱な曲を愉しむと、
次に、まったりと物憂げな英語の歌が響き渡る。
バンピートロットのIn your voice だった。

「アイレムなぜこうなった・・・ 慢心・・・環境の違い・・・」

複雑な想いに涙を浮かべ、鍋からパスタを取り出し、
トマトソースを絡めフライパンにかける。

「あおのりと過剰なタバスコをかけて、これで決まり」

なんともなしに朝食のナポリタンを胃に詰めると、
予定していた時刻でもないのに、気まぐれで家を出た。

道中、愛用のプレイやんから伸びるイヤホンを通して、
一人音楽会が継続される、かに見えたが・・・。
流れてきたのは昨晩用意しておいた
青春アドベンチャー(注*2)の直録音だった。
余談ではあるが、
彼にとって青春スキャンダルが人生初のセガゲーである。
マーク3以外の移植版をバーチャルコンソールや
セガエイジスに期待していたが、
どうやら終ぞその日は来ないらしい。
格闘ゲームでやたらぴょんぴょん飛び回っては
ジャンプキック頼りになる悪い習慣はこのゲームに端を発する。
同じ経路を辿った人もいるのではないだろうか?
電子ゲーム・ジャンプキック主義の開祖は未だにこのゲームだと
思って止まない。
そもそも"青春"の二文字だけでここまで引っ張るのは
いかがなものか。ネタも少し16歳設定に破綻をきたすので、
話を前へ進めよう。

あれは大船から東海道線に乗って、
戸塚を越えたあたりだっただろうか。
車両が突然、緊急停止した。

ここ最近、江ノ電・湘南モノレール・小田急と止まる事案が
立て続けに発生している。次は東海道線で来るんじゃないかと
思い、早めに家を出てみればそら見たことか。

「これが天啓」

窓越しの青空を眺めつつしたり顔で独りつぶやいた。
そして5分ほど経つと運行再開。大事には至らなかったが、
早めに出た分予定に遅れず目的地に着いた。

即売会当日の興奮とこれみよがしなトラブルがあったせいか、
聞いていた青春アドベンチャーの「見かけの二重星」全5回の
内容はまったく頭に入らなかった。
ただ、銀座線内で正面に座していた二次元ドリーム文庫を
熱心に読みふけるジェントルメンに軽く惚れた。

浅草駅ホームに出ると、
予定より10分早く着き、再び独り音楽会が始まる。
イントロの迫り来る重音、連なる軽快な笛の音色、
万華鏡のように広がるメロディラインと美しい調べ。
服部隆之先生の最高傑作「三国志5 内政のテーマ」

「鍛えられたサントラヲタにとって、光栄と言えば菅野よう子。
だが、超一流プリマ・クラッセのサントラヲタの俺に言わせれば、
服部隆之先生のこの曲だけは群を抜いている」

"俺だけがそれを分っている"という意味が分らない
自信に満ちた笑みを浮かべベンチで聞き入っていると、
第二の男が現れた。

「おはようございますっ!!」

その男、りっちゃん。
前回のゲームマーケットからいろいろあって
今回はチケットが配分されサークル参加となった。
今日の意気込みや、昼飯の心配などを軽く話していると、
トランスフォーマーの変形音がケータイから鳴り響く。

「おれー、駅いるけど今どこ」

第三の男、ゲットマン。
改札を出る前にホーム内で合流するという
暗黙の連携をぶっぱし、早くもチームワーク皆無を
露呈する風雲児っぷり。
ゲットマンの前に道は無く
ゲットマンの後に道は創られる。
ああ、どこへ行こうと言うのだゲットマン。
そこはA-4出口だよ。

合流に手間取り、朝一から微妙な空気が流れる三者三様。

「ゲットマンが悪い」

「ゲットマンさんが悪い」

「小足見てからのA-4改札余裕でした」

まだまだできるよゲットマンロード。
果てしなく・・・
そしてその先にゲームマーケットの会場があった。

大荷物を運搬するそれっぽい先生方に混ざり込むと、
りっちゃんが気づく。

「ランジェリーイベントが併催されてるんですねー」

女物の下着が好きそうなゲットマンの目の色が赤く変わる。
まずい、かいしんのいちげきを連発される。

「あれか、フリープレイ卓でイントリーゲやってざわついてる横で
ピンク色空間が広がってるのか」

今回最初のボードゲーム名が出たかと思えば、よりによってそれか。
7階を経由して入場する一般列に混ざりかけるゲットマンを
遠巻きに見つつ出展ブースの4階に直行した。

前回フン詰まり状態になっていたサークル証確認であったが、
今回は大幅に改善され、出入りスムーズとなっていた。

三者がブースの前に立つと、
16歳の小隊長はクリアファイルから1枚の紙を出し、
第二・第三の男に訓辞を始めた。

「今日はよく集まってくれた。貴様らに礼を言う。
まずは大事な約束事を復唱して確認してもらう。
続いて読み上げろ!」

「ショーナンロケッティアズの守って欲しいお約束!」
「第一条 めがねっ娘には優しくする!」

「・・・・」

「おい、続けろと言ったはずだファックども」

「めがねっ娘には優しくする・・・」
「ポニーテールの娘には優しくする」

「第二条 日々からい物を良く食べる!」

「日々からい物をよく食べる・・・」
「からいにも度があるだろう、特にあんただ」

「第三条 いさぎよくかっこうよく!」

「いさぎよくかっこうよく・・・」
「明日からは誰もが振り向く女になる?」

「第四条 リア充は親の仇、一族の敵!」

「リア充は親の仇、一族の敵・・・」
「リア充は親の仇、一族の敵!」

「第五条 コカコーラを愛せ!」

「コカコーラを愛せ・・・」
「はあ?」

「第六条 日々創作!」

「日々創作!」
「日々創作!」





明らかに両隣のサークルが到着していたら
ドン退きするやり取りをかわすショーナン小隊。
そこへ・・・

「おはようございま~す!」

高原を突き抜ける一陣の風のような爽やかな声。

「隣の隣のショーナンさんですね。
今日は一日よろしくお願いしますね」

薫風さんだったーーーーーー!!!
装いも新たに、超豪華なパッケージとコンポーネントとなった
「赤ずきんは眠らない」を引っさげて、このイケメンが参陣!!



我等闇の眷属にその光は余りに眩しかった。
その横の誕生日席で出展している王さまのマカロン
まぢかわいー まぢムネキュン など女子高生トークを交わす両小隊長、その中へ
颯爽と登場。

隣のサークル 机上の貴族

大学生団体という若さ溢れる彼らとの交流は、
今回のイベントに於いてもっとも興味深く、
もっとも貴重であったかもしれない。
時系列を崩して彼らと話したことや見たことを振り返ろう。
まず、彼らはコミケの同人ソフトを出自とする。
これはショーナンも同様で、単と団の違いこそあれど、
コミケでの活動において重なる話は多かった。
そして、この時面白かったのが、
ついコミケの風習であるお隣との作品交換を交わしたこと。
数年前はコミケで普通にやっていたことが、
何か懐かしくて可笑しかった。
「天国と地獄」と「愚者の一撃」をいただき、
こちらからはウサギを一匹とゲットマン渾身の作品「剣劇」を贈る。
そこから、ゲーム会などの参加経験やボードゲームにハマるキッカケ
などを話し、いずれ卓を交えようと誓い合った。
また、ゲームマーケット初とはいえ、コミケ経験のフィードバックが
素晴らしく、出展品を前面に据え熱心にプロモを行いつつも、
柔軟に手書き張り紙で場を調整する手際の良さは即売会熟練チーム然としていた。
おいゲットマン、おまえもあれぐらいやれ。

話を戻そう。


出展品を並べ終え、ひとしきり目の前やや横にある
薫風さんのプレイスペースに常駐するあかずきんちゃんコスの売り子さんを
視姦 見惚れるゲットマンをもぐもぐハントしていると、
「どうも~」
とかわいい小動物のようなボイスで どうながねこぞくザキちゃん登場。
女子高生大好きなザキちゃんだけど、いっそ女子高生になっちゃえばいいのに
と密かに女装計画を妄想してるんですが、それはここだけの話。
万が一TGWとかにこれが載って、本人の耳に届いたら計画が台無しだから
絶対に言うなよ、絶対にだぞ。ザキちゃんのツイッターは嫉妬するぐらい面白い。
面白いからペンギンを一匹進呈した。いいか絶対だぞ。

そして、ついに開幕。
拍手とともに
蛇列は左へと伸び、毛髪完売。
否、男の娘メイド大盛況。
ほら、時代はやっぱり男の娘なんだよ。
と、前の話題を強引に引っ張るのはさておき、
開始数分でゲットマンが"我が意を得たり"的な顔をする。

「どうした まるで迷子のキツネリスのようだぞ」

「わかったんだよ!」

「何がだ?雷雲の向こうにラピッタがあることがか?」

「ちがうよ!」

「じゃあなんだ、第二ファウンデーションの場所か?」

「そうじゃなくて!」
「ほら、会場のあちこちで風船が浮いてるだろう?」
「あれがなんなのかさっきからずっと考えてたんだよ」

「そういや朝は一カ所にまとまってたなアレ」

「いいかいショタコン先生、今から出す情報を悪用しちゃあいけないよ」
「あの風船の下にキッズがいるんだよ」

「なん・・・だと」

隣で感心した表情でりっちゃんがポンと手を叩く。
そのゲットマン大発表を尻目に、
攻城ペンギン完売。

そこへ、ボードゲーム研究室第2研究員
ヨシダさん登場。
奥義伝承お買い上げ!あざっすあざっす。
西のカワサキこと所長もいらしているとのことで、
後で連れてきてくれる約束を交わす。

正午にかかる頃には落ち着いてきたので、
ここで恒例の序盤のハイエナ達の眼を掻い潜ってきた
マイナーでマイフェイバリッツオーラ漂わす
中古ボードゲームを拾い上げるコーナーだ。
第一回は袋小路さんのところからボーンハンザ、
第二回は皇帝の影、
そして今回ググッと16歳の駆け出しボードゲーマーを惹き付けたのはー


パンゲアの征服!!

後で調べたらプレイゲームスに2時間コースと言及されていて
ぶっ飛び。こいつぁ未だプレイチャンスを逸し続けてる皇帝の影コースだぜ。
求める第六感は正しかった。良い買い物をした。
1000円でお買い上げしたにしても、とんでもないコンポーネントの充実ぶりに
ホクホク顔でブースへ戻り、どうよ!と二人に自慢する好事家がそこにいた。
"征服者""領土""建物""これはヤバイ""パーティーだ!!"
を狂ったように連呼し繰り返すジャンキーに対して、差し入れを持ってきてくれた
第4の男あ~るさんもタジタジ。
パンゲア早くやりてえオーラを絶望的に全解放してる16歳は
もはや誰も止められなかった。
が、しかし
そこに、その狂乱を止める唯一の存在が現れる。

ついに、この時が来た。

そう、青騎士さんとついに対面。
握手と抱擁を交わし、愛をささやき合ったが、
娘さんの前でこれ以上は教育上良くないということで
ほどほどに済まし、取り置いた分の秘め事を受け渡し、
意味深なネックレスを娘さん握らせ
「いいかい、ママにこのことはナイショだよ」
と艶やかに耳打ちした。
まるでドーバー海峡を超えてバッキンガム公爵と
密会するアンヌ王妃の如くの関係は続くー

ゲームマーケットも中盤に差し掛かった。

イベントスペースで体験プレイを周りまくってきた
りっちゃんが帰還する。

「名だたる諸侯の情勢を偵察し尽くした卿の話を聞こうか」

「旅の途中、ねこを脱走させるゲームをしました」
「あのほんわかした絵柄と明快なルールには多くのものを学びました」
「あれは良き物です」
「次に、ここよりすぐの場で薫風卿の赤ずきんを体験してきました」
「あれは殿下がお好きなブラフに満ちたゲームにございます」
「今会に於いて随一、是非に殿下も体験を」

「ブラフ?余がなぜブラフ好きと思うたか」

「それはですね殿下」
「赤ずきん姿のお二人に加え薫風卿直々の体験の席に同席しましたところ」
「薫風卿の巧みなブラフの掛け方は、殿下のそれととてもよく似ていまして」
「これは是非とも直接対決をご覧に入れたく・・・」

請願するりっちゃんを遮り、第4の男あ~るも体験プレイ旅から帰還した。

「いろいろやってきた」

「おう、UFOキャッチャー先生も御帰還か」
「して、どのようなものを見聞した?」

服干すやつ
「なかなかおもしれー」

「今会随一は?」

「・・・」

第4の男はかすかにうつむき思案した後、
清らかな顔で答えた。

「赤ずきん」

「ハハハハハッ!!面白い、両雄揃って同じモノを推す」
「面白い、面白いぞ、1つこうてみるか!」

「あいや、殿下、既に完売で」

「ええええ」

このような割とノンフィクションなやりとりがあり、
記念に上に載せたブースの写真だけ撮らせていただきました。

人込みも緩やかになり、午後の黄昏時。
ウサギの儀式は既に完売し、残る大物2つの消化もピタリと止まる。
ゆるらりと時は過ぎ行き、まったりと隣の机上の貴族達と談笑に耽るゲットマン。
良い感じの昼色ゲームマーケットに染まる。

そこへ前回いらっしゃってくれたふうかさんが品を受け取りに登場。
最近ではタイムラインのレビューがゲキアツで、読んだ後にそのうち押さえておきたい
マイゲームリストでも上位に格上げされた。
今思えば、伴っていた紳士が・・・ じゃむたん卿!?
しまった、 頑張れ!!十常侍 の再販希望を申し立てられなかったッ!
今、宦官が関わるゲームを思案しているため、この十常侍のゲームが
どういったものだったのか非常に気になって眠れない。
ダイスを使うとなると更に気になって眠れない。もう日中寝ます。

そして、午前の約束どおり、
ヨシダさんがカワサキ所長を伴って現れる。
なるほど!噂に違わぬ偉丈夫。
ナオエさんはやはりレアであったためボー研集結とはならなかったが、
あのボー研の面々のうち二人も手の届く場所に立っているのだ。
亮・統を揃えた玄徳もこういった気分であったに違いない。
軽く言葉を交わした後、今日という日を記念して、
そして、我がコレクション完成のため、
サインをせがみ、それを快く承知してくれた。
さすがは西の侠、噂に違わぬ好漢。



「あれ~ ボクはどこに書きますか~」

と言いつつもハートマーク付きでノリノリに"受け位置"へ名前を書く
ヨシダさんはなかなかの誘い受け属性。
冬に薄い本が出ますね(^^
ヨシダさん総受け30pのオフセット本でお願いします。

エピローグ

16歳は深々とパイプ椅子に座り語りだす。
「これでGM参戦の裏目的であるコレクションが2つ目、残り2つだ」

ゲットマンは問う
「あと二人は誰だい?」

「一人は銀爺」
「もう一人は、うちにある本のゲームの、ゴールデンフェザーの・・・」

一方同時刻、
りっちゃんは偶然にもあやつりキングダムのプレイ卓にいたという。

来年に続くー
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by souka_t | 2012-11-19 02:17 | ボードゲーム | Comments(2)
Commented by 株式の購入 at 2012-12-04 14:50 x
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
Commented by souka_t at 2012-12-05 07:28
おう!
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