【同人制作】百年戦争(仮)その3


画像は新作・百年戦争(仮)のボードです。

さて、今回はゲームを制作する途上で起こった
わりと真面目な出来事を書き残しておこうと思います。

今制作してるものは百年戦争全体を取り扱った
対戦ゲームで、当時の戦争様式を参考にして基本ルールは
すぐに固まり、名称などの細かい要素を詰めていく段階へと進みました。

そこで最初に立ちはだかった問題が兵団を率いる隊長のクラス名。
5種類あるものをどういう名称でランク付けするかです。
この時代はまだ現代ほど明確な軍人の階級は無かったので、
爵位に注目してみました。この当時は大小の領地を囲ってる貴族が
フランスにもイングランドにもいるわけで、その中から
比較的よく聞くのを選び、第一案として 
【男爵】・【侯爵】・【伯爵】・【王太子】・【王】
の5つをテストモデルで採用しました。
それからしばらくして、百年戦争の著書を読み漁っていると、
どうも【王太子】というクラスがフランス側に当てはめると
しっくりこない。イングランド側ですと有名な黒太子エドワード
などが良い具合に当てはまるのですが、フランス側の王太子と
なるとブルゴーニュ派と完全に決別したアルマニャック派の
シャルル王太子が一見当てはまるも、じゃその時のフランス側の王は
誰よ?となってしまうワケです。トロワ条約でイングランドの
ヘンリー6世がフランスの王を名乗ってしまうので、その辺りを
正確に再現できるように拘ってしまうと煩雑になってしまう。
この辺の葛藤は本当に面白く、歴史好きがゲーム制作を始めると
一番悩ましく楽しい部分です。
結局、シャルル7世も戴冠して王になったし、アルマニャック派も
彼が王になること前提で戦ってる訳だからあれは王扱いでいいだろう
という大雑把な結論に達しました。
そうなるとやはりフランス側の【王太子】がピンとこない。
ためしに【公爵】ではどうだろう?
オルレアン公・ブルボン公、なかなか当てはまる。
が、しかし、【王太子】に比べると今一つ【王】に継ぐヒーロー的な
役割のクラスとしては艶やかさが無い。
そこで、とりあえず人物を当てはめてみる事にしました。
フランス側で【王】に継ぐ戦争で活躍した人物はどんなのがいたか?
ここで振り返るとなんとも面白いものが見えてきます。
誰もが知ってるフランス側の名将といえばジャンヌダルクですが、
百年戦争全体からすればその活躍期間はあまりに短い。
功労者という面で大きく抜きん出ているのは アルチュール・リッシュモン と
ベルトラン・デュ・ゲクラン の2人です。
そしてこの二人、重要な共通点がありまして、それは共に【大元帥】に
任命されていることです。
前述したとおり現代のような軍人の階級は無いのですが、どうも【元帥位】は
存在したらしく、イングランド軍への反撃が行われる局面では大元帥を立てるという
百年戦争中の名場面があります。なんともヒーロー的。
これを取り入れようということで、第二案では
イングランド軍:【男爵】・【侯爵】・【伯爵】・【王太子】・【王】
フランス軍:【男爵】・【侯爵】・【伯爵】・【大元帥】・【王】
となりました。
再度考証チェックということでウィキペディアを読み漁っていると、
今回の本題となる大問題が。
ウィキペディア フランス大元帥 の項をごらん頂きたい。


フランス史上、6人しか存在しない

とあり、その中にはリッシュモンの名はありません。
これはどういうことだろうか?と先日大混乱しました。

とりあえずリッシュモンの項も参照してみますと。

表記の上では大元帥ではなく元帥となっています。
もしや正式には元帥で、功績がデカイから大元帥の"敬称"がついたのだろうか?
という疑問が沸きます。
もう1人の大元帥だったベルトランの項も参照すると
どういうことか元帥の表記すらない。
総大将や王の代理人という感じにどうも触れられていない様子。
そもそも大元帥とかあとづけ設定なんじゃ・・・という疑惑が高まり、
近場の図書館やネット和訳された資料では手詰まりで途方に暮れていたところ、
思わぬところからヒントが浮かび上がります。
百年戦争末期に活躍したジル・ド・レイの項でした。
ジャンヌと戦った輝かしい時と戦後の堕落っぷりで有名な男爵ですが、
この方、意外にも【フランス元帥】に任命されています。
終盤でジャンヌやライルらに継ぐ活躍のレイ男爵といえど、
さすがにリッシュモンと同格はなくね?という疑問があり、
和訳がそもそも怪しくね?というワケで大元のページを見てみる事に。
これがまいった。 Gilles de Rais wiki で検索すると
オリジナルより前に同名ロックバンドやキャッスルバニアのウィキが引っかかる。
さすがオカルト要素も満点の男爵。しかしなんとか大元のウィキペディアに到着。英語もままならぬのにフランス語、それでも単語を拾えば
なんとかなるだろうと思いながら読んでみると、和訳より圧倒的な情報量である事に気づく。
これも意外と面白い出来事でしたが、ここでの収穫は和訳で【フランス元帥】と
訳したのは【maréchal de France】であることが分ります。
丁寧にも歴代maréchal de France一覧も存在しました。
それによるとシャルル7世時代の元帥は

Amaury de Séverac
Jean de Brosse
Gilles de Laval-Montmorency ←レイ男爵
André de Lohéac
Philippe de Culant
Jean Poton de Xaintrailles


お気づきだろうか?
今度はリッシュモンがいない。
さてはて、ここでリッシュモンのウィキに立ち戻ってみよう。
こちらは大元と和訳版とを比べても内容量は大差ない。
レイ男爵がいかに愛されてるかが分りますね、という冗談はさておき。
本文序盤に注目してみると

他にトゥーレーヌ公、モンフォール伯、イヴリー伯の称号も併せ持ち、
トネール伯領も併せ持った。また、
フランス元帥(connétable de France)の地位に就いた。


フランス元帥(connétable de France) この部分です。
maréchal de France とは違った connétable de France という
表現を使っているようです。
では connétable de France とはなにかとウィキを見てみると。
厄介な事に和訳が存在しない・・・。
しかし、maréchal de Franceとは違った最高司令官であり元帥をも下位に置く
称号のようなものであると読めます。
歴代connétable de Franceの一覧もあり、その中にはしっかりと
ベルトランとリッシュモンの表記があります。

なるほどなるほど。

これは混乱するわけだ。
要するに和訳では以下のフランス元帥の種類がある。
 
フランス大元帥(maréchal général des camps et armées du roi)
 史上6名しかいない比較的新しい肩書き。
フランス元帥(Maréchal de France)
 ふつうの元帥たち。
フランス元帥(Constable of France)
  一般著書では大元帥となるのがコレ。

Constable of France を大元帥と訳すと、maréchal général (ry の方と
被るわけですな。ウィキではそれで【フランス元帥】と表記を統一していた様子。
それでもふつうの元帥と被るという。
Constable of France になにかかっちょいい訳を付けたほうがいいんじゃね
と思う訳ですが、既にリッシュモンもリッシュモン大元帥で固着しちゃってるから
無理やね。 とりあえず制作中のゲームではConstable of Franceを大元帥
と表記する方を採用する予定。


ほら面白いでしょ 歴ゲー制作^^^^^^^^^^^^
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by souka_t | 2012-03-09 01:11 | 同人ゲーム制作 | Comments(0)
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