松浦寿輝【花腐し】
第123回芥川賞受賞作品。

登場人物の一人である伊関の、人を食ったような感じで
次第に哲学的になる語り口が面白い。
東京という土地の変化を巨大な亡霊化に例え、
腐り行きながらその土に根ざしている人々を
すでに亡霊となった者達と言い表してしまうところなど
痛快にすら感じる。詰まるところ敗者の弁、負け犬の遠吠え
ではあるのだけど、何かこう綺麗に切り捨てたように
聞こえるのが比喩表現の面白さなんだろうと思う。
ここだけ切り取ると傑作なのだが、
残念な事に本筋の主人公と死に別れた彼女の話が陳腐。
父子ほどに離れた小娘と性交して自分の気持ちに気づかされる
結末など低俗の定番にも程がある。
語り口が面白い俗っぽさがあっただけに、落とし込んだ俗は
その程度かと落胆を禁じえない。
中盤の伊関の語り口は本当に面白かっただけに惜しい一作。
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by souka_t | 2011-12-17 12:13 | 文学 | Comments(0)
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