藤原智美【運転士】
第107回芥川賞受賞作品。

これまた特殊な職業系で地下鉄の運転士のお話。
鉄ヲタも納得の運転士視点の描写満載なの・・かな?
電車でGOをかじった程度の自分でも、
「あるある」や「そうそう」と頷く場面が多かった。

鉄道描写だけでも相当に引き付ける作品なのだが、
ご多望に漏れず、その運転士の日常に侵食する
非現実的な歪みがお話を支配する。
それは鞄の中に入っている女性なのだが、
これがまた唐突だ。第108回の犬婿入りの唐突さも
凄かったが、こちらはなんと言うか意味深さを多分に
含むので象徴的なものをしっかり感じる。
主人公の運転士が何故運転士を選んだか語られる場面が
あって、何か不確定要素に左右されないキッチリとした
サイクルで活動することに大きな魅力を感じたとする
理由に、個人的に共感するところがある。
曖昧さが介在しない規則正しさというのは自分のような
(俗に言う)A型人間には理想中の理想なもので、
しかたなく曖昧さを受け入れて生きているという側面が強い。
この話で徐々に鞄の女性の存在が大きくなっていくのも、
その曖昧さを受け入れ瓦解していく様を表したものだと思う。
第102回の表層生活同様、個人的にあるある話の範疇。

かと言って、面白かったかどうかは微妙なところなのが惜しまれる。
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by souka_t | 2011-11-01 20:09 | 文学 | Comments(0)
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