月曜です。
皆さん一週間いかがお過ごしでしたでしょうか。 先週は細かい事いろいろ。 ■自作汚染マップネタ (元ネタ:秒刊サンデー) 腰越人が恐れるのはシラス養殖の壊滅だけ。 千葉県のさきっちょが盾になって水質汚染なかなかこないんじゃね? という楽観論がガチ。でも、すぐ隣の藤沢では汚染牛が出た\(^o^)/ ■一風堂からか麺に挑戦 エクスリワード完成祝い&聖誕祭に、家のド近所にある一風堂に行ってきました。 予ねてより風の噂で聞いていた【一風堂からか麺】、果たしていかほどのものか。 ゲキカラ麺の雄・中本より辛いとの噂は本当なのだろうか? 一週間前より予定を決め、中本より辛いものを想像しただけで ヨダレが止まらない日々を送る始末。ゲキカラフリークとは因果なもので、 まだ見ぬ辛きものを想像するだけでゴハンが何杯でも食える。 前日に於いては、晩飯に母がこしらえたゲキカラ麻婆豆腐を食し、 その余りの甘さに「辛い」と訴え悶える母を笑い飛ばし、 「一般に言うこの程度が辛いとは笑止千万、明日の一風堂も この分ならばたいしたことはあるまい」と、一人勝ち誇った。 いざ当日。朝アニメのプリティーリズムでアスミンの声と 今は無きLISPを堪能し一風堂へ。 1名様を案内され席に着き、間髪をいれず 店員のおねいさんにオーダーを出す。 「からか麺、超特辛、麺カタめで」 すると、店員は聞き返す。 「超特辛は以前よりも辛くなっています、本当に大丈夫ですか? 大変辛くなっていますよ?」 一週間前より覚悟を決めていたこの自分に対して、 それは余りに無意味な問い。 「大丈夫です、辛いものには慣れていますから」 言った。言ってやった。 それは余りに神々しく、雄大にして、偉大。 天外魔境のCMの言葉を借りるなら、我が道に敵なし。 勝ち誇った顔の前に怪訝な表情を浮かべ、 店員はオーダーを承った。 からか麺が主目的ではあったが、 もう1つ目的があった。 それは一風堂フリークの間で評判が良い【もやしナムル】を食すこと。 よくラーメン屋の席に常備されているニンニクや生姜のように 常備されていた。 これがもやしナムル。 以前自作したお手製ゲキカラもやしナムルと比べるべく、 小皿を取り、もやしを1掴み2掴みし、盛る。 そして、箸を取りそれを口の中へ。 「旨い」 率直な第一印象であった。 よく油の乗った艶やかな身と、よく吹かしたやわらかな歯応え。 なるほど、これは噂に違わぬ味わい。このもやしこそが 一風堂の一風堂たる粋そのもの。率直に"旨い"のだ。 だが、次の瞬間。 期待の裏切りを感じる。 「辛くない」 そう、良くも悪くも"旨い"で止まり、上品なのだ。 千の客を相手にするならば"旨い"で良いのだが、 千の内の1人のジャンキーを相手にするには、 余りに普通。凡庸。 我が自作もやしナムルの完成度こそは低く、 見た目も味のバランスもこの一風堂のもやしには並ぶ域ではない。 がしかし、辛さに於いては優った。 試合に負け、勝負に勝つとはまさにこのことを言うのだろう。 顔の右半面で苦虫を噛み、左半面でしてやった笑みを浮かべ、 この後に来るであろうからか麺の程度が知れたことを残念に思った。 「所詮、客相手の辛さなどこの程度」 始まる前に終わった感が、自らの思考を支配し始めた。 それからほどなくすると、両脇に座った客は帰り、 常連らしき客が左2つ隣に座り込む。 景気の悪い話を1つ2つ店員と話し込むのが耳に入り、 この常連アピールとばかりにあれのそれのとよく聞こえる 声で話し込むオヤジがいささか疎ましく感じてきた頃だろうか、 それはようやくやってきた。 「からか麺・超特辛・麺カタめです。本当にお待ちどうさまでした」 用意に手間でもかかったのか、丁重に接する店員に 軽く会釈をし、再び箸を取る。 まずはスープか。一口すする。 勢い余ってもう1口すする。 「フン、旨い、旨いだけか」 更に3口、駄目押しで4口・・・ そこで異変が起こる。 「痛ぇえ!! 喉が、痛ぇえええ!!」 すすったスープが当たる喉の奥が 燃えるように腫れ上がるのではなく、刺されたように痛みを感じる。 辛いのではない、痛いのだ。 全身から汗が噴出す。 一瞬目が霞み、 耳なりが覆い、 首から下に震えが走る。 痛い、ひたすらに痛い。これが辛さの・・・局地? 俺は待っていたのかもしれない、この辛さを、この痛みを、 絶え間なく噴出す汗に悦びを覚えるこの一瞬を。 箸を止め目を瞑った。 口元はほのかにゆるみ、腰を少し浮かして、顎をやや空へと傾ける。 そう、待っていたのだ。 この刻限を。 この悦びを。 この辛さを。 そう念じた後、一陣の風を頬に感じ、目を見開いた。 再び箸を取り、スープをすすり麺をすする。 このスープ、痛い。際限の無い針の山の如く喉を突く。 痛いか、これ以上の辛さは味わった事が無い。 中本以上? ああ、噂どおりだ。これは中本の辛さの上を行く。 マジスパ以上? 虚空はまだ人の食い物だ。これは・・・ 果たして、自分以外がスープを飲み干せるのだろうか? と思考を泳がせながら、スープをひたすらすする。 喉が壊れるのではないかという恐怖が襲う。 だが、どうしようもなくジャンキーなのだ。 極上の辛さを味わえれば喉の1つなど惜しくは無い。 声と引き換えに辛さで死ねるのなら、それで本望だった。 ダメージによる明日からの影響など、もはや関係無かった。 「辛さのためならば、この喉を持っていけいっ!!」 これが自分の等価交換だった。 何かの快楽を得るには、 それと同等の代価を払わなくてはならない。 真理の扉を開く通行料が喉1つならば、 自分にはそれが安過ぎた。 真理の辛さに届くためならば、 下半身ぐらいならば差し出すだろう。 それほどに、ジャンキーなのだ。 戦った。 自分はひたすらに、 痛みと、暑さと、朦朧としてきた意識と、 戦った。戦い続けた。 レンゲですくってもすくっても無くならないスープ。 無論、全部飲み干さなくてはいけないなどというルールは無い。 そう、こればかりは自分との戦いなのだ。 極上のゲキカラスープを一滴足りとも残してはならぬ。 残せば、自分の負けなのだ。 誰も定めた訳ではない、自分が定めた決まり。 死んでも守らなくてはならない決まりが、そこにはあった。 口の端から垂れるスープが顎を伝う。 そして、その顎にスープが染み込み、 顎に激痛が走る。 俺は、こんなものを飲んでいるのか・・・ 馬鹿な・・・いや馬鹿だろう・・・おまえ馬鹿か。 お前って誰だよ、いや俺のことだった。 そうだ、これは戦いだ、自分との、一風堂と俺との。 気をしっかり持て。見失ってはいかん。 飲み干すのだこのスープを。 もはやそれは苦行であった。食事ですることではなかった。 めくるめく快楽に 恐怖と勇気と蛮行が渦巻く。 一歩、一歩と継戦し、感覚が麻痺して意識が半分遠のく中、 ついに 食った。勝ったのだ、勝利したのだ一風堂に。 清々しい笑顔だったろうか、それとも苦悶に満ちていただろうか。 何にせよ地獄を越えた漢の顔をしていたに違いない。 満足し、伝表を持ち立ち上がり、 そして喉がズタズタとなったかすれ声で 会計を済ませる。 外の風があまりに心地よい。 たまらず深呼吸をした時だった。 下腹部が燃えるように熱い。 きた、いつものやつがきた、辛さの後遺症というやつだ。 だが、今回のは少しおかしい。 あまりに重い。熱い。そして、痛い。 汗まみれの中、更に汗が噴出しいやな予感が脳裏をかすめる。 気が付けば家へと走っていた。 部屋へ飛び込むと、立っていられずうずくまる。 まるで腹の中で焚き火をしているようだった、 余りに苦しく、しばらく立ち上がれなかったほどだ。 あれは、全部飲んではいけないものだったのではなかろうか・・・ という思考が支配し、それが順に恐怖へと変わる。 この痛さはヤバイ。生まれる。双子だ、間違いなくこの痛さの質量は双子。 胃がぶっ壊れるかと思った。 ショーナンロケッティアズの管理人、ゲキカラスープを飲み干し 胃に穴を空け自宅にて憤死。そんなフレーズが次々と湧き出る。 それでも、それはそれで本望、辛さで死ねるのなら構わないという 強気が半分を占めていたが、次第に洒落にならない下腹部の痛みが その強気を1/4に減少させた。「これは死ぬ」その一言が脳裏を支配した。 この期に及んで考え直した、フラグを辿った。 あの時、店員は自分を止めた。 あの時、喉を焼いたスープは異常だった。 あの時、そもそも全部飲み干すとか馬鹿がやる事だったのではないか あの時、外に出てすぐに吐き出してしまうべきだったのでは 痛みに思考が踊る、巡り巡って、答えは出ぬままに。 だが、あの時ほどじゃねえ と、いつもなら奮い立つところであったが、 どの時を辿っても、これほどのことが無かった。 恐らく人生で一番死を覚悟した。 それは競艇会場で知り合いと間違ってヤクザを殴った時以上だ。 余りの醜態であった。 顔を上げることも態勢を立て直して座り込むこともできなかった。 OrZ まさにこの状態。 人を呼ばなくて良かった、家から遠いい他の一風堂で食わなくて良かった。 万が一文豪になった場合は、太宰治のパロディで "恥のまったくない人生でした" からはじまる文を書きたいと常々 思っていたほど、後悔の無い人生を送っていることで定評がある自分だが、 この醜態ばかりは、人に見られていたら一生の後悔ものであっただろう。 それほど酷いことになっていた。 今にもプツ切れそうな意識の中で思った。 「よくこれで死人が出ないな。本当は病院にたくさん運ばれてて 金で解決して口裏を合せてるんじゃねえのか・・・?」と。 そもそも中本より辛いものを出していいのか、 ヤバイんじゃないのか、人死ぬぞ、自分のような向こう見ずの 命知らずなら死ぬまで飲むぞあのスープ。 自分も大盛りにしていたら間違いなく運ばれていたぞ。 そう思考が収束するうちに、なんとか痛みは治まった。 この日は非常に哲学的な体験をした。 死とは何なのか、辛さとは何なのか、真理とは何なのか。 それらを悟った想いである。 それから丸二日、ゲキカラ党としての限界を感じ引退も考えたが、 三日目の夜、ようするに今。またいずれ、あの辛さに挑んでみたいと思った。 ジャンキーはやはり、死ぬまでジャンキーなのだ。 からか麺の一件から一息入れてから一人祝勝会。 もう、すべてをからか面に持っていかれた想いだよ。 ・追記 テレビチャンピオンの激辛王ですら「スープは心が折れる」と評してる。 あれ、それじゃ俺もテレビチャンピオンの予選ぐらい通れるんじゃね?
by souka_t
| 2011-09-12 20:30
| 日々よしなし事系
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