池澤夏樹【スティルライフ】
第98回芥川賞受賞作品。

芥川作家の作品を読み進めていく上で、
最も楽しみにしていた作家の一人。

フィーリングだね。
とにかく感じてくれと言わんばかりで、
書き出しからそういった雰囲気がムンムンとたち込めてる。
それでいてお話自体も面白く、劇中で語られる抽象的な表現
とは裏腹に、妙に現実味を帯びた登場人物の行動がどこか可笑しい。

グラスの中の氷、雪、投影機と小道具から発展する
幻想的な登場人物の言動はこの話を象徴するもので、
理詰めで考えれば非常識の一言で片付けられるのだけど、
妙な納得感がありその創造力に魅了されてしまう。
こういうものこそ文学なのではと時折思わされる。
おとぎ話ほどに逸脱しない幻想性と、先が気になるほどに
引きつける話、この二つのバランスが良く取れていて、
全編に渡り過剰になり過ぎず、至ってスマートなのも
この作品の凄いところ。そして、なんと言っても読みやすい。

そろそろニヤニヤしてる人がいると思うので書いてしまうが、
この親にしてあの娘さんというのは納得せざるを得ない。
文豪の娘さんが声優で、しかもプロモデラーばりの腕前を以ってして
マスターグレードザザビーを組み上げてると思うと、シュール過ぎる。
なんと自由奔放なことか、
スティルライフもまたそんな自由な発想の上で生み出されている。
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by souka_t | 2011-06-04 10:36 | 文学 | Comments(0)
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