第117回芥川賞受賞作品。
沖縄戦を生き延びた元日本兵が、
戦後数十年後に突如として足が膨れ上がり、
そこから謎の水が延々と滴り落ちる話。
いきなり日本昔話のような奇妙奇天烈な展開で、
それに群がる沖縄民達の描写から、沖縄独特の
活気が伝わってきたのが良かった。
ちょっとした奇病の村騒動から、次第に沖縄戦の回想を交えた
重厚な展開へとシフトするのだが、結末が予定調和過ぎた。
若干、第110回の石の来歴を髣髴とさせるものがあるが、
こちらの方が後発ということもあり、ちょっとひねり不足を感じる。
こういう話にはひねりがあればいいというものではないけど、
自分には沖縄への思い入れがないせいか、
ちょっと物足りなかった。