安岡章太郎 【悪い仲間】
第29回芥川賞受賞作品。

イケナイことほど魅力的で、
アウトローなほど人として格上。
誰しもが、そんな幻想に囚われた人の群れの中で過ごしたきた
記憶があることだろう。
そういった思考がいかように伝染していくかが
如実に表現されていて、こう何と言うか、今までの戦後戦前を舞台
とした作品からは感じ得なかった一種のノスタルジックさがある。
恐らく、"ワルがカッコイイ"という若者思考が随分昔から
普遍的に繰り返されているのだろう。
そういったところに焦点を当てているせいか、
ラストまで戦前という舞台の古さはあまり感じなかった。

主人公は道を踏みはずしきる寸でのところで戻ってくるのだが、
ヤンチャの仕方を広めた友人の朝鮮人が、もう一人の友人と共に
完全に道を踏み外しきって闇に消えて行くのは、
昨今の拉致問題を髣髴とさせるので結構洒落にならない。

しかしながら、この主人公達は当時の大学生。
読んでいるときの感覚は自分の世代でいうところの
中高生の心情を見ているようだった。
だが、確実に現代でもこういった大学生はいる。
悪友からパチンコなどのギャンブルを仕込まれ、
ドハマリして財政と単位が破綻しかけるなんて
この話の縮小例って感じだ。
悪ガキに染まる過程を、心情に焦点を当て本当に良く書ききった快作だと思う。
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by souka_t | 2011-03-23 18:34 | 文学 | Comments(0)
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