石川淳 【普賢】
第4回芥川賞受賞作品。

言葉で飾り立てるとはよく言うが、
息を吐くように放たれる膨大な語彙はとにかく凄い。
明治~昭和戦後の中二病とでもいうべきか、
一挙一動に加えて小難しい事をマシンガンのように並び立てる
この独特な口語体にはただただ圧倒され、そしてその中に熱を
感じる。まるで熱せられて威勢の良い音を上げるヤカンのようだ。

正直なところ、はじめは読みづらいと思った。
古風で難解な表現が出るたびに、読み始めたことを後悔もした。
だが、少し慣れてくるとこの文章の独特なリズムが病みつきになる。
この酸欠になりそうなほど捲くし立てる独特の文体は、
どうやら饒舌体と呼ばれているらしい。
歳月を経て、分かりやすい語呂と軽快さにまとめられて
ライトノベルの文体としても使われている事を考えると非常に趣がある。

普賢という物語に関しては、その独特で回りくどい文体と所々の時系列
の移り変わりなどが忙しく、読みながら内容を追う事に精一杯で、
作品に於けるメッセージ性については残念ながら汲み取る余裕が無かった。
とにかくろくでもない人ばかり登場しては一悶着あったり、
いきなり人が死んだりと、目まぐるしい展開ではあった。

凄い作品であることには違いないが、芥川賞を取るほどの
物語だったかと言われれば首をかしげる。


これを読むと、何か作業をしようとして手が付かない時に
「ああ普賢なり普賢なり」と言いたくなってしまう。
いや、実際ブログを更新しようかしまいかの時に言ってる自分がここにいる。
この【普賢】を浅沼晋太郎か神谷浩史に朗読させたいと思うのは私だけではないはず。
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by souka_t | 2011-01-18 04:12 | 文学 | Comments(0)
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